一般的な飲食店の収益構造において、平日の日中はもっとも稼働率が落ちる時間帯だ。ディナーと週末に比べて売り上げ効率が低く、店の固定費負担を重くするアイドルタイムの削減は、どの業態でも永遠の課題である。
そこで「魚べい」は、あえて採算ギリギリに見える“90円ラーメン”を看板に据え、ランチ帯の集客を底上げする戦略を選んだ。その成果は、すでに数字に表れているという。
「平日の客数は予算比120%、130%も見込める勢いです。対象商品の出数も予測を超えている状況です」
まさに狙いどおり。アイドルタイムを埋める施策として、成功の兆しが見えている。
人件費を抑えることで低価格を実現
では、なぜこの価格が実現できたのか。担当者はその理由をこう語る。
「全席に高速レーン(またはオートウェイター)を採用しているため、ホールスタッフを介さずに商品提供が可能。人件費を抑えられることが大きいです」
「魚べい」の大きな特徴は、回転レーンを用いないフルオーダー制の“スシレーンDX”とも呼べる仕組みだ。タッチパネルで注文すると、専用レーンから高速で寿司やサイドメニューが運ばれてくる。
ホールスタッフが配膳や片付けに割く時間を最小化することで、同規模の飲食店よりも圧倒的に人件費効率が良い。この構造的な省人化が、90円という価格破壊を可能にしている理由のひとつだ。



















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