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特殊清掃を仕事にした元Jリーガー(30)の"覚悟"〈高校で日本一→年代別日本代表→J3〉で経験した光と影と"これから"のこと《前編》

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  • 山田 智子 フリーライター・カメラマン
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創業からの約1年間で多くの現場に携わったが、いまだに慣れることはない。慣れてはいけないとも思っている。特に自殺の現場は「見た瞬間に、ゾワッとする」と言う。

「テーブルに家族への感謝の言葉や死を選ぶに至った思いが書かれた手紙が置いてあり、ご遺族がその場で読んで泣き崩れている姿を何度も見てきました。寄り添ってくれる人がいたら、この方の人生は変わったんだろうなと」

亡くなった方への敬意を払いながらも、「僕は残された方のほうが大事だと思っている。ご遺族の気持ちを背負って、作業をする」ことが尾身さんのポリシー。見積もりのときも、作業をしているときも、遺族には「何かあればいつでも連絡ください」と伝えている。

実際に夫を亡くした高齢女性が「夜、ちょっと寂しくなって」と電話してきたことがあった。

「『おじいちゃんはこういう人だったんだよ』とか、たわいもない話しかしてないですけど、『なんか安心したよ』と言ってくれて、それだけでよかったなと」

家族のチームメイトとして貢献できる特殊清掃の仕事は、「アスリートに向いている」と尾身さんは語る。

「一番は忍耐力があるところ。アスリートも特殊清掃も“嫌だからやめる”が通用しない仕事。一度決めたことを結果が出るまでやりきるマインドを、自分自身で作ることができるのがアスリートの強みです」

「サッカーをやっているときも、『なんでいま走ってるんだろう』とやめたくなることはしょっちゅうでしたが、高校生のときにクラブユースで日本一になったときに『このためにやってきたんだ』と最高の満足感が得られました」

引退したアスリートを迎え入れたい

1人で始めた会社は、3カ月ごとに社員を1人増やし、1年半で4名に成長。将来的には引退したアスリートを迎え入れたいと話す。

多くのアスリートが引退後のキャリアに苦戦している中、なぜ尾身さんは順調にセカンドキャリアを築けたのか。その背景には、サッカーでの成功と失敗があった。

後編では、尾身さんのビジネス戦略について紹介する。

後編:「ブランド力ない」元Jリーガーが見据えた"将来"

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