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特殊清掃を仕事にした元Jリーガー(30)の"覚悟"〈高校で日本一→年代別日本代表→J3〉で経験した光と影と"これから"のこと《前編》

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  • 山田 智子 フリーライター・カメラマン
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「これでもだいぶ片付いたほうなんですよ。僕たちが来たときは、家中腰くらいまで物が積み上がっていて、玄関のドアが開きませんでした。だから、まず作業員が入れる道を作るところからはじめたんです」

大きな一軒家で1人暮らしをしていた80代の女性は、階段の下で亡くなっていたそうだ。

女性で体液が少なく、発見が早かったため、特殊清掃にはそれほど時間がかからなかったが、ピアノや本棚など、家族で住んでいた頃の大量の荷物が残されており、いわゆるゴミ屋敷状態。「遺品整理」には3~4日かかる見込みだという。

子育て本や編み物道具……。かつては丁寧な暮らしをしていたであろう面影と目の前のゴミの山のギャップに、「どうしてこんなことになってしまったのか」と困惑する筆者の傍らで、尾身さんは荷物を1つひとつきめ細かくチェックし、手早くゴミ袋に入れていく。

バッグは1つひとつ開けて中を確認。本やノートは挟まっているものはないかパラパラとめくってみる。出てきた貴重品はすべてご遺族に確認してもらうために大切に保管する。

「この確認と仕分けが遺品整理では一番要の作業です。紙切れ1枚でも遺族にとっては思い出の品かもしれないので、丁寧に仕分けます。あとは少しでもゴミを減らすため、衣類や紙などリサイクルできるものを分けていきます」

女性が亡くなっていたという階段を片付けるスタッフ(写真:大澤誠撮影)

孤立死・孤独死は年間7万件超

核家族化・高齢化に伴い、1人で亡くなる孤立死・孤独死が年々増え、社会問題となっている。

警察庁の調べによると、24年に「警察取扱死体のうち、自宅にて死亡した1人暮らしの者」は7万6000人。そのうち「4日以上」経過していたものは3万1843件に上る。尾身さんの会社のある神奈川県だけでも、昨年1年間で2000件ほどの特殊清掃の依頼が来る。

人は亡くなると、1時間も経たないうちに腐敗が始まる。

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【特殊清掃を仕事にするために必要なこと】

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