「最期は家で」のはずが…後悔しない看取りのためにすべき準備。「なんちゃって在宅診療」を選ばないためのポイントとは?

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では、そのケアマネや訪問看護はどう探せばいいの?となります。それを最初に仲介するのが「地域包括支援センター」なのです。

ちなみに、私の診療所がある江戸川区では「熟年相談室」という愛称が付けられています。各地域で名前が異なることがあるので、お気をつけください。

病院や施設ではなくて、自宅で最期の時間を過ごしたい、看取りをしたい。そんなときには気楽に地域包括支援センターを訪れてください。皆さんの環境に応じた医療機関の紹介や介護のあり方について説明し、紹介してもらえます。

多くの方々が、介護保険料を40歳からしっかりと払い続けています。だからこそ介護保険の制度は、しっかりと利用すべきです。その制度を的確に利用すれば、ご家族は愛情を注ぐだけで、「制度」があなたの生活を支えてくれるのです。

信頼できる在宅診療医探しを

自宅でのお看取りを実現するためには、信頼できる在宅診療の医師をみつけることが大切な第一歩となります。

在宅診療所を選ぶ「当然の条件」としては、24時間365日、どのような重い病気でも自宅でしっかりみてくれることです。

ところが、当然であるはずのこの条件、実は9割方の在宅診療所は、夜間や休日にしっかりと往診に来るわけではありません。それどころか、重い病気で困ったときには、「じゃあ病院で診てもらいましょう」と言われてしまうことが少なくないのです。

夜間の緊急対応としてコールセンターを設置しているだけだったり、普段昼間の診察をしていない夜間だけのバイトドクター(非常勤の医師)を使っているだけの在宅診療所が、巷にはあふれかえっています。

大きな病院に併設されている在宅診療所では、夜間に電話を受けると、往診ではなく、救急車で自分の病院に入院させることも少なくありません。

私はこのような在宅診療を「なんちゃって在宅診療」と呼んでいます。

良い在宅診療所を選ぶ条件としては、以下の3項目が必須でしょう。

・常勤医師で24時間しっかり運営していること
・在宅看取り率80%以上を満たしていること
・地域の介護職種から信頼されていること

バイトドクターだけで構成されている診療所や、困ったらすぐに救急搬送してしまう診療所、地域の介護職種からの紹介が少ない診療所は、要注意です。

また、大きな病院から退院して在宅診療に移行する場合、その病院の、在宅診療の現場を知らない相談員から、漫然と「その大きな病院としがらみのある、地域のあまりおすすめできない在宅診療所」を紹介されてしまうこともあります。

大切なご家族との最期の時間を幸せに過ごすためには、ご自身で診療所や医師の情報をしっかり集め、素敵な医師やスタッフが揃っている、素敵な在宅診療所を選んでください。

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