「最期は家で」のはずが…後悔しない看取りのためにすべき準備。「なんちゃって在宅診療」を選ばないためのポイントとは?

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「先週まではもっと元気だったんですよ」

在宅診療の現場でよく言われる言葉です。本当は看取りが近い人だけでなく、すべての人が20歳を超えてからは、「先週のほうが元気」なのかもしれません。

5年前より膝が痛くなる、1年前よりもの忘れがひどくなる、数週間前より物が食べられなくなる――。これは病気ではなくて、誰にでも訪れる自然な衰えなのですが、自分のことや大切な家族のことになると、受け止められない。

その感情もごく自然なものです。でも、やはり人は必ず年を取るし、体は衰え、少しずつ最期の時間に近づいていくのです。

必ず過去より衰えるとするならば、どう対応すればいいのでしょうか?

今を大切にする――。このことに尽きるのだと思います。

医療の現場でも、過去にこだわったり、未来を心配しすぎることで、「今」という時間が置き去りになっていることがよくあります。「あんな食生活を送らなければ糖尿病にならなかったのに」とか、「抗がん剤を続けていれば、がんが完全に治っていたかも」とか、過去を後悔し、未来に期待をします。

今の幸せのために今、何ができるのか。一度しかない人生です。そして必ず最期が訪れる人生です。だからこそ、過去に縛られすぎず、未来に期待しすぎず、「今」を存分に生きてほしい。日々、たくさんの方の最期に関わらせていただくからこそ、そう感じます。

まずは「地域包括支援センター」へ

日本全国、どの自治体にも「地域包括支援センター」という小難しい名前の施設があります。自宅での介護や医療のことについて聞きたいことがあれば、まずは訪れてみてください。

自宅で重い病気のご家族をみていくときに、まず考えるのは介護負担のことではないでしょうか。

ただ、介護費用の心配をされる方々の多くは「公的な介護サポート」についての知識が十分でないため、制度を十分に使う準備ができていない方が多いのが実情です。

病院や施設での介護環境のイメージは比較的想像しやすいのですが、自宅というと、あまりにも「日常の生活空間」すぎるために、自宅で公的なサービスを導入したときの具体的な様子がイメージしにくいのです。

病院も同じですが、自宅で重い病気をサポートするうえで、「医療」だけではいのちも生活も支えることはできません。ケアマネジャー(ケアマネ)がリーダーシップをとって、訪問看護、ヘルパー、訪問入浴、福祉用具の方々を一堂に集めて、どのような介護をしていくのかのプランを立てていきます。

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