あなたにも出来る!社労士合格体験記(第52回)--都心でタケノコがニョキニョキ
試験ではさまざまな角度からの例外規定にも注意が必要です。第1に「自由利用の原則」が適用除外となる場合。第2に「休憩付与」そのものが適用除外となる場合。第3に「労働時間、休憩及び休日」がまとめて適用除外になる場合です。
特に、農業、畜産業、養蚕業、水産業や管理監督者等を対象とする、第3の適用除外は毎年のように出題されるので、必ず押さえておきましょう。頻出論点は、(1)「林業」は第一次産業でも適用除外ではないこと、(2)「労働時間、休憩及び休日」は適用除外でも、「深夜業」は除外されていないので割増賃金が必要であること、(3)「年次有給休暇」も除外されていないことです。
「自由な意思」もキーワード
労働基準法では最近判例からよく出題がありますが、賃金の全額払の原則に関する判例では、「自由な意思」という言葉がキーワードになります。選択式で抜かれても入れられるようにしておきましょう。
最高裁判例「シンガー・ソーイング・メシーン事件」では、賃金の全額払の原則は「使用者が一方的に賃金を控除することを禁止し、もって労働者に賃金の全額を確実に受領させ、労働者の経済生活をおびやかすことのないようにしてその保護を図ろうとするものであるから、労働者が退職に際し、みずから賃金債権を放棄する旨の意思表示をした場合に、全額払の原則がその意思表示の効力を否定するものであるとまで解することはできない」としています。
この判例は、学説的には労働者の自由意思による賃金債権放棄肯定説をとっているとされています。労働者保護の立場から、「意思表示の効力を肯定するには、それが労働者の自由な意思に基づくものであることが明確でなければならないものと解すべきである」としている点に注意が必要です。
次回は、叙勲のお祝いです。
【毎月第2・第4火曜日に掲載予定】
翠 洋(みす・ひろし)
1958年愛知県生まれ。国際基督教大学教養学部卒業後、ラジオたんぱ(現・ラジオNIKKEI)入社。番組制作、報道、出版事業などを経て45歳で退職。延べ1年半の失業期間の後、NHK「地球ラジオ」の専属ディレクターとして3年勤務。その間、ファイナンシャル・プランナー(AFP)に登録。2007年4度目の挑戦で「行政書士」合格後、行政書士法人で外国人の日本在留ビザ申請代行業務に従事。「社会保険労務士」には、2008年4度目の挑戦で合格。Mr. MISU国際行政書士事務所、中央社労士オフィスみす開設。現在は、LEC講師として社労士「新合格講座」「人事労務基礎科」などを教えている。趣味はアルトサックス演奏、温泉巡り。「語学オタク」(TOEIC 945点、中国語コミュニケーション能力検定TECC 883点、ハングル能力検定 準2級)。
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