「この家を出なければ殺してしまう」酒と男に依存する母、娘から"搾取"続ける父に絶縁後まで苦しめられ…毒親育ちの作家が語る「壮絶すぎる半生」

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「自分を大切にして」と心配してくれる友達もいたが、「親から死んでもかまわないと思われている人間が、どうやって自分を大切にできるの?」と聞きたかった。

友達には、自分になにかあれば、遠方から車を飛ばして迎えに来てくれる家族がいる。でも、自分には心配してくれる存在がいない。当時20歳そこそこのアルテイシアさんは、自分と周りを比べてすねていたのだという。

「地震が起きて、怖くて寂しかったんですよ。ひとりになりたくなかった。誰かに頼りたかったし、よしよしと抱きしめてほしかった。そんな孤独と不安のなかで、藁にもすがる思いで『どんぶらこ』と流れてきた男を次から次へとつかんでいった感じです。

でも、家のなかでひとり膝を抱えて泣いていたら、たぶん自殺しちゃってたんじゃないかな。生きるために飲み屋に出かけ、ビッチになっていたんだと思います」

もう傷つきたくない。毒親と“完全なる絶縁”果たす

ビッチ街道を突き進んでいたアルテイシアさんだが、ぶじに大学を卒業し、22歳で大手広告会社に就職。「これでもうお金の心配をしなくてすむ」と喜んだのも束の間、経営難に陥っていた父に何度もお金をせびられるようになった。ある日、父に「この書類にハンコを押さないと俺は死ぬ」と脅された。

「これはヤベーやつだな。借金の保証人にされるのかも」と思った。しかし、当時23歳のアルテイシアさんは父の脅しに逆らえず、署名捺印してしまう。「おまえには絶対に迷惑をかけない」という父の言葉を信じたい思いもあった。

だが、その願いも虚しくお金の無心は続き、ようやく「父にとって自分は搾取する対象なんだ」と認めることができたという。

一方、母は昼夜を問わず電話をかけてきた。無視をすると何十件と着信を残し、最終的には職場に押しかけてきた。その職場も「セクハラ・パワハラのセ・パ両リーグ」で、ストレスはたまる一方。うつ状態に陥ったアルテイシアさんは、28歳のときに退職し、無職になった。

ある日、たまたま母親に会う機会があった。身体を壊して会社を辞めたと伝えたところ、母は予想外の反応を見せた。「あなたは辞めてないわよ」と頑なに認めないのだ。

「この人は“有名企業に勤めるエリートの娘”じゃなきゃ嫌なんだなとわかりました。普通なら『大丈夫?』と心配するじゃないですか。それがまったくなくて、ようやく気づきましたね。親の愛を諦められなかったけど、無理なんだなって」

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