「この家を出なければ殺してしまう」酒と男に依存する母、娘から"搾取"続ける父に絶縁後まで苦しめられ…毒親育ちの作家が語る「壮絶すぎる半生」
トラウマになりそうなかたちで両親を亡くしたものの、「時限爆弾を抱えている感覚がずっとあったので、思ったより早く死んでくれてホッとした」とアルテイシアさん。ようやく心穏やかな日々を過ごせる……はずだったが、静かに時を刻んでいたその時限爆弾が爆発した。借金取りがやってきたのである。
前述のとおり、アルテイシアさんは約20年前、父に脅されて保証人の書類に署名捺印していた。父の死後、相続放棄の手続きをしていたものの保証人の放棄はできない。父が死んだ後もなにか厄介なことが起きるのでは──。ずっと抱えてきた不安が、今まさに現実になったのだ。
父が遺した借金は数千万円になっていた。「ふざけんなコノヤロー!」と怒りに震えたが、脅されて保証人になったと証明するのも、契約を解除するのも極めて難しいことは知っていた。
借金には時効がある。しかし弁護士の友達によると、父の遺した借金は時効にかからないことがわかった。父が自殺する直前まで毎月1000円ずつ、返済していたためだ。
「自分が一生懸命稼いだお金を、毒々モンスターに死ぬまで搾取され続けなければならないのか」。本当は1円だって払いたくないが、もうどうにもならない。そこで、トータルの支払額をなるべく少なくできるように交渉。その結果、利息分は免除で、元本を少額ずつ返済することで話がついた。
「自分はひどい人間なのでは」という罪悪感が消えた
自分は今まで一度も借金をしたことがないのに、40歳を過ぎて多額の債務を抱える身となったアルテイシアさん。しかし、この借金騒動で、意外にも「心が軽くなった」という。
「父が亡くなってから、心の片隅にはいつも『父が自殺したのは自分のせいなんじゃないか』『親を見捨てた自分はひどい人間なんじゃないか』という罪悪感があったんです」
もちろん頭では違うとわかっていたし、父が自分で自分を追い詰めた結果だと理解していた。父は好き勝手に生きて、自分で69歳の生涯を閉じた。父の人生の責任は父自身にあり、子どもにその責任を負う義務はない。父につけられた傷は深く、死んだからといって「お父さんもつらかったんだね」という気分には1ミリもならなかった。
しかし、人の心はままならないもの。心の奥深い部分には「父に対してなにかできたのではないか」という思いがくすぶり続けていたのだ。それが借金騒動が落ち着いた頃、いつの間にか消え去っていた。
「私の潜在意識が『これだけの借金を娘に背負わせたのだから、もう自分を責めなくてよし!』とOKを出したのかもしれません。もしくは『死ぬまで毎月返済するんだから、それでもう罪悪感はチャラでよくない?』と判断したのかも」



















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