「この家を出なければ殺してしまう」酒と男に依存する母、娘から"搾取"続ける父に絶縁後まで苦しめられ…毒親育ちの作家が語る「壮絶すぎる半生」

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放課後になると、「今日の母は一体どんな感じなんだろう」とハラハラしながら家に帰った。母の言動は、日に日にエスカレート。アルテイシアさんはどんどん壊れていく母を制御できず、止められない自分に苦しんだ。

愛情を与えてくれることもなく、ただただ自分の現状を嘆き、支離滅裂にわめく母に振り回される毎日は、思春期のアルテイシアさんの心を確実に蝕んでいった。

「このままでは自分か母を殺してしまう」

追い詰められて精神的にギリギリの状態。最悪の事態が起こる前に「逃げよう」と決意し、必死に勉強して大学進学のタイミングで実家を捨てた。当時18歳、まだ寒さの残る3月のことだった。

実父に傷つけられ…生きるために、ビッチになった

4畳半のアパートでひとり暮らしをはじめ、地元の国立大学に通った。学費や生活費を稼ぐためバイト漬けの毎日だったが、かけがえのない自由を手に入れた気分だった。

ところが1995年1月、これまでの日常が壊される。阪神・淡路大震災が発生したのだ。アルテイシアさんは神戸で被災し、友人や知人を亡くした。茫然自失の状態で数日を過ごし、がれきだらけの街を歩いていると思いがけない人物に出くわした。長いこと会っていない父だった。

「なんやおまえ、生きとったんか」

自分の娘の生死も不明なのに、この瞬間まで「そんなことは気にしたことがなかった」とでもいうかのような口ぶり。頼る人もなく、ひとりで必死に生きようとしていた彼女を傷つけるには、十分な言葉だった。心の傷口からは、これまで抑え込んできた苦しみや悲しみ、寂しさといった感情が一気にあふれ出した。

そして、この父からの言葉を機に自暴自棄になったアルテイシアさんは、お酒と色恋に溺れるようになる。

「それからの私は、いわゆる“ビッチ”化しました。お酒に酔って、ゆきずりの男と破竹の勢いでセックスするようになったんです。それまでは、大学に入って初めて付き合った彼氏と身体の関係を持ったくらいだったのに。今思うと、あれは現実のつらさから逃避するための手段だったんでしょうね」

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