ブッダは「最強コンサル」、空海は「天才経営者」。歴史を変えた2人が実践した「巨大スポンサー」獲得の驚くべき手法
ブッダはまず、かつての修行仲間5人に対し、自らが発見したメソッドをロジカルかつ丁寧にプレゼン(説法)し、最初の弟子(=社員)を獲得します。
彼のビジネスが軌道に乗ったきっかけは「口コミ」でした。ベナレスの裕福な家の息子で、若者たちの人気者だったヤサという青年が、享楽の虚しさに悩んでいたところをブッダに救われ、出家します。この「インフルエンサーの出家」というニュースは都で大きな話題となり、「あのヤサがそこまで心酔するブッダとは何者だ?」と、彼の話を聞きに来る若者が殺到し、一挙に50人もの弟子が増えたのです。
ブッダの真骨頂は、大口の「投資家(パトロン)」に対する営業力にありました。彼の強みは、クライアント(相対する人)の状況に応じて、100人いれば100通りの語り方ができる、卓越した「対機説法(たいきせっぽう)」という名のプレゼン能力でした。
巨額の「現物出資」を引き出す
ブッダは、国王や富裕層という有力パトロンに対し、彼らが関心を持つ「政治」や「経済」の文脈も踏まえたアドバイス(コンサルティング)を行いました。
特に象徴的なのが、コーサラ国の首都サーヴァッティーに住むアナータピンディカという大富豪との出会いです。商用でラージャガハを訪れた彼は、ブッダの存在を知り、その人柄と教えにすっかり魅了されます。そして彼は、ブッダのために巨大な活動拠点を寄進しようと決意します。
これが、平家物語の冒頭「祇園精舎の鐘の声」で知られる、「祇園精舎」です。アナータピンディカは首都近郊の林園を高額で買い取り、宿舎や講堂を備えた一大センターを建設し、ブッダの教団に寄進したのです。



















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