ブッダは「最強コンサル」、空海は「天才経営者」。歴史を変えた2人が実践した「巨大スポンサー」獲得の驚くべき手法
結果は、空海のシナリオ通りでした。恵果は「私は以前からあなたが来ることを知っていて、ずっと待っていましたよ」と微笑み、空海を迎え入れました。
空海の凄みは、キーパーソン(恵果)が抱える「最大のペイン(後継者不在)」を的確に突いた「ソリューション営業」にあります。彼は「私があなたの技術の最高の理解者であり、それを日本で広められる唯一の人間だ」と暗に提示し、わずか3カ月という驚異的なスピードで密教の奥義をすべて伝授され、正式な後継者「阿闍梨(あじゃり)」となります。
約束された20年の留学期間をわずか2年で切り上げ、彼は「最先端技術の独占ライセンス」を手に日本へ帰国。帰国後、彼はその技術を「鎮護国家」という、当時の日本政府というクライアントが最も求める形に「ローカライズ」して提供。嵯峨天皇という最強の支援者を獲得し、京都の東寺や高野山を拠点に、一代で国家公認の「巨大事業財団」を築き上げたのです。
現代にも通じる「大型案件」の獲得術
ブッダの「クライアントの課題解決力」と、空海の「キーパーソンを動かす情報戦略」。
彼らが駆使した「営業戦略」と「資金調達術」は、数千年の時を超え、現代の営業やスタートアップの資金調達にもそのまま通じる、普遍的な「成功法則」を示しています。
もちろん、すべての教祖がこのような華麗な成功を収めたわけではありません。本書では、この2名のほか、巨大企業(ユダヤ教)からスピンアウトして「信仰のスタートアップ」を立ち上げたイエス・キリスト、夢破れた教育者から死後に「経営の神様」へと神格化された孔子、そして一枚の「内部告発」から史上最大の「企業分裂」を引き起こしたマルティン・ルターなど、多様な「創業者」たちの波瀾万丈なキャリアと戦略を紹介しています。
現代のビジネスパーソンの中には、経営やプロジェクトを自分の経験知だけでやろうとしている方がたくさんいます。しかし歴史上、数多くの人が同じ轍を踏んで失敗しているのです。どうすれば成功したのか。何が失敗ポイントだったのか。歴史はその「成功と失敗のケーススタディ」の宝庫なのです。
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