少し残念だったのは、以前は無料だったおかゆのおかわりが、昨今の米高騰の影響で有料(1杯220円)になっていたこと。悲しいけれど、このご時世なので、致し方なし。ただし、塩気が強めの“ごはんがすすむおかず”が多いので、おかゆ1杯では少し物足りないかもしれません。おかわりをしない派の人は、ペース配分を考えて食べ進めるのがポイントです。
味噌汁は赤だし。具は麩とわかめだけかと思っていたら、底に刻んだミョウガが入っていました。“神は細部に宿る”なんて言いますが、ほんのちょっとのミョウガで、味の格がぐっと上がります。鼻に抜ける爽やかな香りが、赤だしのコクを引き立てる名脇役でした。
おかずにも、築地という立地ならではのこだわりが光ります。築地名物の江戸一の佃煮、松露の卵焼き、吉岡屋の漬物など、地元の名店が手がけた品々を少しずつ楽しめるのが嬉しいところ。なかでも江戸一の佃煮は、私の知人である80代の江戸っ子マダムが「子どものころから大好物なの」と語るほどのロングセラーです。
さらに、かまぼこなどの魚肉練り製品で業界シェアNo.1を誇る紀文も、築地発祥です。場外市場には築地総本店があり、周辺の路地裏には「紀文」の名を冠したビルが点在しています。築地の朝ごはんを支えてきた老舗ブランドの存在が、ここでも静かに息づいているのです。
お子さまランチならぬ、“大人さまモーニング”
18品の朝ごはんは「人気のおかずをちょっとずつ」という、お子さまランチと同様のスタイルではあるものの、大人好みの味付けで、朝から食べてもの胃もたれや胸焼けをしない淡白な味わいを取り揃えた、いわば“大人さまモーニング”です。繊細な味付けも多いため、こまめに緑茶を飲んで口の中をリセットするのがおすすめ。
タコの塩麹和えは、「タコがここまで柔らかくなるのか」というほど、塩麹で柔らかくなったタコを千切りシソでさっぱりと。塩気があるのでおかゆがすすみます。湯豆腐はほどよい弾力のある絹ごし豆腐を、柚子の香りであっさりと。上品なだしは最後の1滴まで飲み干すおいしさです。


















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