「武器」化されたレアアース、日本の産業界は耐えられるか。サプライチェーンを牛耳った中国

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当時、レアアース磁石の加工は日本の磁石メーカーが中国を凌駕していた。そのため「武器」としての力は弱かった。中国はその後、磁石サプライチェーンの上流(鉱山開発、精錬)だけでなく、下流(製造・加工)の産業振興にも注力し、強みを増やした。

「かつて不得手だった永久磁石の加工分野を大幅に強化し、サプライチェーン全体を通して脆弱な分野がなくなった」(李氏)

24年、中国は世界の磁石加工の94%を占めている。

レアアースを「武器」化させないためには、レアアースを使わない製品の開発やリサイクル、そして自国での調達や生産を進めていくしかない。

日米で「市場」の形成に注力

高市早苗首相とトランプ大統領は10月28日の日米首脳会談で、レアアースの採掘や精錬・加工に投資していく方向で合意した。オーストラリアとも連携し、コストに見合った価格水準で取引できる「市場」の形成に注力する。

レアアース安定調達に向けた枠組みで合意したトランプ大統領と高市早苗首相(写真:時事)

三菱UFJリサーチ&コンサルティングの清水孝太郎主席研究員は「レアアース増産には常に供給過剰問題がついてまわった。鉱山が1つ増えただけで供給がだぶついて値崩れし、採算が悪化。結果、供給国は中国だけという状態に戻ってきた。日米豪連携の課題は、値崩れや採算悪化を防ぐため中国以外でレアアース需要を維持・拡大できるかどうかだ」と語る。

再び起きるかもしれないレアアースショックへの対策を怠ってはならないだろう。

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野中 大樹 東洋経済 記者

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のなか だいき / Daiki Nonaka

熊本県生まれ。週刊誌記者を経て2018年に東洋経済新報社入社。週刊東洋経済編集部。

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劉 彦甫 東洋経済 記者

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りゅう いぇんふ / Yenfu LIU

東洋経済編集部員・記者。台湾・中台関係を中心に国際政治やマクロ経済が専門。現在は、特集や連載の企画・編集も担当。1994年台湾台北市生まれ、客家系。長崎県立佐世保南高校、早稲田大学政治経済学部経済学科卒業。早稲田大学大学院政治学研究科修士課程修了、修士(ジャーナリズム)。日本の台湾認識・言説を研究している。日本台湾教育支援研究者ネットワーク(SNET台湾)特別研究員。早稲田大学台湾研究所招聘研究員。ピアノや旅行、映画・アニメが好き。

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