「武器」化されたレアアース、日本の産業界は耐えられるか。サプライチェーンを牛耳った中国
なぜ、このような構造になったのか。かつては日本も精錬や加工をしていた。ところが、精錬の過程で生じる放射性物質の人体への影響や環境汚染を規制する法律が整備されたことで生産コストや政治コストが増大。1972年ごろを境に精錬から手を引いてゆく。先進各国も日本と同様に、生産を放棄していった。

中国依存脱却への道は遠い
それに取って代わるように精錬技術を高め、精錬シェアを広げていったのが、労働者の保護法制や環境規制が緩い中国だった。先進各国は、生産や政治のコストが重いレアアースは「中国から買う」ことを常態化させてゆく。こうして「中国独占」が築かれた。
中国からの輸入に安住していた日本を突如襲ったのが2010年のレアアースショック。中国が日本向けレアアースの輸出量を縮小すると発表したのだ。2カ月後には、尖閣諸島沖で中国漁船と日本の海上保安庁の巡視船が衝突する事故が発生。中国人船長が日本側に逮捕されると、報復として中国はレアアースの輸出規制を強化した。産業界はパニックに陥る。

















