働きすぎて疲労困憊→心機一転《オーストラリア》でワーホリ!が、就労先は「悪徳ベリー農場」で・・・。日本人女性2人の"完璧を手放す生き方"とは

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海外に出る場合、語学向上を目的にする人も多いが彼女たちはまず“楽しさ”を優先する。

「英語は買い物ができる程度。喋れなくても楽しい。それでいいかな」真鍋さんは微笑む。

「英語を本気で伸ばしたい人は、そもそも日本人といないだろうし。それでも、行く前よりは確実に喋れるようになってます」と満足そうに佐々木さんも笑う。

完璧を求めない。その割り切りが、精神的ゆとりを生んでいる。

実際、1年間一緒に暮らして「1人の時間が欲しい」と思ったことはないかと聞くと、「うーん」と考えたあと「ないですね」と口を揃えた。

「部屋でそれぞれ好きなことをしながら、同じ空間を共有しているだけなので気になりません」

この相性の良さが、異国の地でも精神的安定を保つ秘訣なのだろう。

「3年間オーストラリアに滞在して日本へ戻ったら、ゲストハウスをやりたいです。なので今まで以上にもっとお金を貯めたい」

豪州での工場勤務…搾取か、希望か

オーストラリア旅行中の2人
2人は現在、「日本でゲストハウスをする」という夢に向かって邁進している(画像:取材協力者提供)

日本での取材から1カ月後、オーストラリアに戻った2人からメッセージが届いた。

「新しい仕事が見つかりました。アイスクリームのコーンを作る工場です。働いているのは全員オージー(オーストラリア人)。給料は以前と変わらないけど、週4日勤務になって以前より条件はいいです」

Googleマップでめぼしい工場を探し、連絡をしたのだという。それで面接をし、仕事が決まった。

31歳と29歳。週35時間働き、月40万円を手にしながら、2カ月に1度の旅行を楽しむ。2人には今、「日本でゲストハウスをする」という明確な夢がある。これを「搾取」と呼ぶべきか、「希望」と呼ぶべきか。

「オーストラリアに来てよかったと思うから、『労働搾取』とか言われるのは腹立つ。日本の方がはるかに搾取されてた」

真鍋さんの言葉は挑発的だが、1つの真実を突いている。私たちが「搾取」と決めつけているものの中に、誰かにとっての「希望」が隠れているかもしれない。何を「搾取」と感じ、何を「希望」と見るか。

少なくとも2人にとって、オーストラリアは人生の選択肢を広げる場所になっている。

【もっと読む】【欧州の朝ごはん】スペインの「本気モーニング」は約1000円でお腹いっぱい!こだわり抜いた「至高のワンプレート」がコレだ@サンタンデール では、スペイン在住ライターのきえフェルナンデスさんが、コスパ抜群のスペイン朝食を紹介している。
きえフェルナンデス スペイン在住ライター

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きえふぇるなんです / Kie Fernandez

1982年生まれ。美容師として4カ国で働いたのち、2013年より北スペインのカンタブリア州へ移住。現地で美容師を続けながら、2019年より多様性を深掘りするためにインタビューライターとしても活動。スペインを題材にしたコラムや、ヨーロッパで活躍する人を発掘し、日本の機内誌や雑誌、各種メディアで紹介している。

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