働きすぎて疲労困憊→心機一転《オーストラリア》でワーホリ!が、就労先は「悪徳ベリー農場」で・・・。日本人女性2人の"完璧を手放す生き方"とは

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

10日で農場を辞めた2人は、同時に宿も失った。行動範囲を広げるために28万円の中古車を2人で購入し、新たな仕事が決まるまで、車中泊でしのぐことにした。

「めっちゃ狭かったし、寒かったです。でも、2人だったからできた。1人だったら怖くて無理でした」(佐々木さん)

取材に応じた2人
共同口座などの工夫で苦難を乗り越えた(筆者撮影)

この生活を支えたのが「共同口座」だ。オーストラリアでは複数人で名義を共有できるデビットカードを作ることができる。

2人はそれぞれ個人口座も持ちながら、生活費用の共同口座を開設。生活費を完全に共有することで、どちらかが困っても助け合える仕組みが、異国の地での心の支えになった。

転機は、突然訪れる。ベリー農場で知り合った日本人から「ミートファクトリー(食肉工場)に一緒に行かない?」と誘われたのだ。この縁が、2人の道を開いた。

“働く自由”を取り戻した南半球での暮らし

南東部の小さな町にある食肉工場には、パプアニューギニアやフィジー出身の労働者が多く、日本人も複数在籍していた。従業員は約60人。働き始める前に健康診断も行われた。

勤務は月曜から金曜、朝6時に開始する。木曜と金曜は午前で終わることも多く、残業代は1.5倍。そして驚くべきは、休暇の取りやすさだ。

「2カ月に1回、1週間休んで旅行していました。1カ月休んでも『おかえり』って迎えてくれる。趣味のサーフィンも楽しめて、精神的にすごく自由でした」(佐々木さん)

豪州ワーホリをめぐっては「労働搾取」との批判も根強い。確かに、危険を伴う作業もある。工場には指を失った従業員もいる。

一方で、危険な作業ほど給料が高く、チェーンソーなど特に危険な作業は現地のオーストラリア人が担当しているという。2人はこう語る。

「最初は臭いがきつかったけど、ヘッドホンで音楽聴きながら作業できるのがいい」(真鍋さん)

「こっちの仕事も楽ではないけどオンオフがはっきりしているし、毎月貯金できるので選択肢が広がりました」(佐々木さん)

物価も高いオーストラリアだが、生活面はどうだろう。

「外食するとめちゃくちゃ高いです。コーヒーと朝食が2人で70豪ドル(約7000円)。スーパーの野菜とかも高いけど、その分給料も高いから、そんなに苦ではないです」

貯金はするものの、オーストラリア生活を楽しむことも忘れない。今年はニュージーランドやフィジー、東南アジアへの旅行も計画中。2カ月に1回の旅行は、もはや2人のルーティンだ。

次ページ「『労働搾取』とか言われるのは腹立つ」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事