働きすぎて疲労困憊→心機一転《オーストラリア》でワーホリ!が、就労先は「悪徳ベリー農場」で・・・。日本人女性2人の"完璧を手放す生き方"とは

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インタビューに応じた2人
取材に応じてくれた2人(筆者撮影)

1年4カ月後の2025年9月。日本で取材に応じた2人は、晴れやかな表情でこう言った。

「1年で150万円、貯金できました」

勤務先はオーストラリア東部ニューサウスウェールズ州にある食肉工場。1年間働き、この金額を貯めたという。

「これ、内臓切ってるところです」(佐々木さん)

携帯で見せてくれた動画に写っていたのは、オペ看護師と魚屋を混ぜたような格好をし、大きめの包丁を使いながら、慣れた手つきで作業している姿だった。

朝6時から始まる仕事は、豚肉をひたすら切り分ける単純作業だ。時給は約32豪ドル(約3200円)。週35時間働いて、手取りは月40万円前後になる。

「毎月、だいだい20万くらい貯金できました」(佐々木さん)

日本人が日本人を搾取する「悪徳ベリー農場」

しかし、最初から順調だったわけではない。

オーストラリア到着後、最初に向かったのは、Facebookで見つけた「日本語対応可能」なベリー農場。英語力に不安があった2人には安心できそうに思えたが、実態は過酷だった。

「1パック50円の歩合制。7日間フルで働いて手取り171豪ドル(約1万7000円)で、宿泊費を差し引けば、ほとんど手元に残りませんでした」

「地獄のベリー農場」と彼女たちが呼ぶその場所は、「悪徳」として幾度となく名が挙がるニューサウスウェールズ州コフスハーバー市のベリー農場のひとつだった。そこでは20人以上の日本人が働いていたという。

「最悪でした。朝6時から夕方まで働いて、この金額。10日で辞めました」

ただ、「セカンドビザ(2年目ビザ)」取得のために3カ月間耐える日本人もいたという。

オーストラリアのワーキングホリデーは、特定業種で一定期間(通称「88日ルール」)働くことで2年目の滞在が可能になる。さらに2年目、合計179日間(約6カ月)働いた場合、3年目のビザが申請できる。この仕組みを悪用した“搾取ビジネス”が後を絶たない。

興味深いのは、ベリー農場の仲介役が日本人だったという点だ。“同胞”という安心感を利用した構造には、より深い問題が潜む。

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