「賞味期限は2時間」、ほっかほっか亭が守り抜く「できたて」の絶対的価値。米高騰で赤字になっても貫いた「おいしいごはん」のこだわりとは?

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一時的に赤字に陥ってもごはんのクオリティを守り、緻密なオペレーション設計や教育・研修制度で「できたてのおいしさ」と「手頃な価格でおなかいっぱい」を守るほっかほっか亭。

米の値段はある程度落ち着いてきており、価格調整やメニューそのものの見直しも進んでいる。2026年3月期は、堅調な数字が営業利益として出せる見込みだ。

外食ビジネスのハテナ特捜最前線
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ほっかほっか亭の強さの源泉はどこに?

改めて、ほっかほっか亭の強さの源泉はどこにあるのだろう。中途入社組の飯沼さんと信木さんは、売り上げ200億円規模の大企業ながら、「個人の裁量が極めて大きく、1人ひとりを尊重する」風土に驚いたという。

「やりたいと思えば、商品の企画からお客様に届くところまで。販促であれば、自分の企画したツールやデザインが店頭に貼られるまでを担当できます。それも、1人で全部担わなければいけないということではなく、社内外のさまざまなリソースを使い、素早く組み立てることができる」(飯沼さん)

永岑しおりさん
2024年に中途入社し、大阪・関西万博の広報で活躍した永岑しおりさん(写真:ほっかほっか亭総本部提供)

前編で触れた「創業時のフォント制作者探し」も若手デザイナーが発案し、すぐに飯沼さんが「とりあえずやってみよう」と承認。それがXで4400万ビュー、17万2000イイネを超えるバズを起こした。

社内には日々アイデアが飛び交い、若手も挑戦しやすい雰囲気が漂う。一方で、多様な人材の意見を融合させ、組織力を最大化するための仕組みづくりには課題も残る。それでも、「お客様に喜んでもらう」という共通の目的が、議論を前へ前へと推し進めている。

持ち帰り弁当の原点とも言えるその目的こそが、他の中食との差別化を生んでいる。そこに、Z世代獲得への挑戦やデジタル戦略が融合することで、「いつもの安心感」と「新しい驚き」が両立しようとしているのだ。

成功の反対は失敗ではなく何もしないこと――。

次の50年も愛され続けるために、老舗弁当チェーンの進化は続く。

「手頃な価格でおなかいっぱい」を目指して2025年にリニューアル発売された「のりスペシャル」(写真:ほっかほっか亭総本部提供)
【あわせて読む:前編】「実はのり弁の元祖」「"ほか弁"は店名の略称」なのに…。《若者に認知が薄い》老舗「ほっかほっか亭」が本気で挑むZ世代獲得4つの戦略
笹間 聖子 フリーライター・編集者

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ささま・せいこ / Seiko Sasama

フリーライター、時々編集者。おもなジャンルは企業ストーリー、ビジネス、幼児教育、発酵。編集プロダクション2社を経て2019年に独立。ホテル業界誌で17年執筆を続けており、企業と経営者の取材経験多数。「プレジデント・オンライン」「ダイヤモンド・チェーンストア・オンライン」「月刊ホテレス」「FQ Kids」などで執筆。企業noteのライター、ブックライターとしても活動。大阪在住。

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