この指標は数値がプラスからマイナスまで推移しますが、プラスだと概ね「景気がいい」と感じており、マイナスに転じると「悪い」と感じていると捉えることができます。
中小企業は長く、日銀短観がマイナス続き
この数値が1990年以降、中小企業はプラスに転じたことがないのです。大企業はリーマンショック前、あるいは現在、大きくプラスに転じています。中小企業は数年ずれて右肩上がりになりかけると大企業がマイナスに転じて、引きずられるように大きくマイナスへと動き出します。この繰り返しを四半世紀繰り返してきました。
大企業は短観発表から2~3年間、プラスの恩恵を受け、内部留保を重ねてきました。ところが中小企業は内部留保ができるゴールデンタイムがないのです。
ただ、1980年代までは違いました。大企業と中小企業は同じようにプラスの恩恵を受けていました。1989年12月の日銀短観は大企業も中小企業も同数の大きなプラスになっています。
では、この景気の恩恵に対する格差はどうして起きたのでしょうか? 大企業による中小企業への支払いが厳しくなったからとの意見もあるでしょうが、大きな要因は展開するビジネスに独自性がなくなってきたことではないでしょうか。
たとえば、景気の回復に合わせて収益を得られる独自性の強い商品やサービス。大企業ではできないようなオリジナリティあふれる研究開発。あるいは中小企業ならではのアットホームな職場環境など。独自性をもって戦えば高い収益を得て、短観もプラスに転じる可能性は十分にある気がしてなりません。
個別に見ていけば、大きなプラスを感じている中小企業はたくさんあります。独自性の追求で大企業と中小企業が併走してプラスに転じる、そんな日銀短観を再びみたいと思うのは当方だけではないでしょう。
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