転機を迎える日本の人材育成(その1)

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●大規模企業ほど外部研修機関への依頼が多い

 教育研修にはノウハウが必要だ。自社でまかなうこともできるが、研修を行う人材の養成にもコストがかかる。教育研修を自社内で完結すべきか、高い専門ノウハウを持つ外部研修機関に依頼するかは、それぞれに長所、短所があるだろう。
調査結果を検証してみよう。どの企業規模でも最も多いのは「一部の研修を外部研修機関・講師に依頼」で、「1001名以上」では5割以上、「301名~1000名」と「1~300名」では4割台だ。
「ほとんどの研修を外部研修機関・講師に依頼」が最も多いのは「301名~1000名」で28%。他の企業規模では21%にとどまる。「半分程度の研修を外部研修機関・講師に依頼」は企業規模が小さいほど少なく、大きくなるほど多くなっている。
全体的に見ると、企業規模が大きくなるほど外部研修機関への依頼が多い。ただし今後の見込みを見ると、少し違う将来が見えてくる。「外部研修機関・講師への依頼を増やす」のは中小規模の企業で、「1~300名」が15%、「301名~1000名」では19%とかなり多い。「1001名以上」ではわずかに5%である。
「委託を減らす」のも「1001名以上」が多く、16%だ。「1~300名」は7%、「301名~1000名」では9%である。
外部委託が多い大企業に内製化を望む傾向があり、外部委託が少ない中小企業に外部委託を増やしたいという傾向があるわけだが、現在やっていない施策にチャレンジしてみると言うことなのかもしれない。
なおフリーコメントを読むと、内製化する理由で目立つのは「コストの削減」だが、外部委託する理由にも「内製化は作り上げるのに非常に工数がかかる」との指摘がある。外部研修機関に委託するプログラムと、自社の業務や事情に合わせた内製化プログラムの棲み分けをいかに図っていくかが重要である。

図表9:2011年度に実施した教育研修における外部機関の利用状況(全体、規模別)

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図表10:外部機関の利用について今後の見込み(全体、規模別)
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