「偶然ではなく人を狙って襲っている?」 死者12人《クマ被害》山で起きている「残酷な現実」 こんなにも被害が出てしまった"根本理由"
クマが生活圏に入れば当然、人との軋轢(あつれき)が生まれ、事故が起こる。被害にあわなくても、クマが近くにいることで、住人の不安や恐怖は募る。
人身被害は9月末時点で108人と被害が大きかった2023年度と同水準だ。死者数は過去最多の12人に達している(10月30日時点)。
クマはなぜ人を襲うのか
クマは本来、臆病な動物で、見通しが悪い場所などで、出会い頭に人を襲うケースが多いとされている。だが、最近は、積極的に人を狙って襲うようなケースも出ている。
山の中でキノコ取りしている最中に被害にあうケースも相次いで報道されている。
横山教授は、キノコ取りで人が森に入ると、「クマは自分のエサ場に部外者が侵入したと認識し、攻撃性が高まる」という。ただでさえ、今年はエサが不足している状況で、人が食べ物の争奪戦に加わることは危険だと指摘する。
またクマはドングリなどを好むが、元々は肉食系だという。特定の獲物にこだわらず、環境や状況に応じて、チャンスがあれば何でも食べる「機会的捕食者」とされている。行動が過激化すると、人間も捕食の対象となってしまうこともある。
観光シーズンの中、岩手県北上市では旅館の露天風呂を清掃していた男性がクマに襲われ、近くの山林で遺体が発見される痛ましい事故も起きた。横山教授は、これは「たまたまではなく、クマが人を食べるために狙っていたことが強く示唆される」と推測する。
クマは聴覚と嗅覚が優れ、鋭いツメと大きな歯を持つ。全身が「筋肉の塊」で、時速40km程度で走るため、人が全力疾走で逃げても、追いつかれてしまう。一方、体の割に目は小さく、視力は弱い。景色が白黒のように見えているという。


















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