(第46回)中国自動車展開の大いなる幻影

第2のイルージョンは、「量のイルージョン」だ。

そもそも中国は巨大なので、どんなことに関しても、中国の量的な比重は大きくなる。自動車の場合、これに加え、経済危機後の条件が大きく作用した。アメリカをはじめとする先進国で需要が急減した反面、中国政府がとった需要喚起策の影響で、中国の需要が急増したからである。
中国にシフトすれば利益の絶対額が減少

09年に、VWが生産台数でトヨタ自動車を抜いて世界最大の自動車メーカーになったが、これは、VWの小型車の販売台数が、中国の景気刺激策に後押しされて伸びたからである。結果、同社の海外事業で、中国は最大の比重を占めるようになった。

GMの場合もそうである。09年は同社が経営破綻に追い込まれた年だが、このとき、同社の中国販売はVWを抜いて過去最高の182万台に達した。アメリカの販売が30%落ち込む一方で、中国では66%の伸びとなった。「GMを救済したのは中国の消費者であり、中国という存在がなければGMは生き残れない」と言われたほどだ。

いまや自動車の最大の市場は中国だ。だから、日本の自動車メーカーの場合も、「これからは中国」ということになる。

しかし、それは、中国でのビジネス展開が望ましいことを意味するわけでは必ずしもないのだ。量的に拡大できても、利益があがらなければ意味がない。

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