「休めない」日本人がどうにか休むためのコツ ハイテクや知恵を駆使せよ

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このPCスーツは、ランナーが着用するコンプレッションウェアと同じような目的だが、デスクワーク時や就寝時など身体をアクティブに動かしていない時に適した締めつけに設計されているため、デスクワークの疲労軽減にも適している。スポーツからヒントを得た、疲労対策である。

こういった新しい工夫を導入する際には、トップの判断も重要だが、なによりユーザーである社員の評価が重要である。この「PCスーツ」については、東洋経済オンラインでも2014年11月に取り上げた(仕事の効率を上げる『PCスーツ』の正体)ことがある。

この記事で、リクルートライフスタイル・ネットビジネス本部の大宮英紀執行役員は、「楽しんでもらえるサービス、役立ててもらえるサービスを作って人々に提供しているわけであり、オフィスに閉じこもって世の中と断絶されている状態では、いい仕事はできない」とコメントしている。

「疲労がたまりやすい働き方」をする人が多い

「オフィスに閉じこもって」は、身体・精神両面において現代型疲労を象徴する表現だ。デスクからほとんど動かず、誰ともしゃべらずPC画面を見続けながらコーヒーでも飲む。仕事と休憩のメリハリはまったくない。体は動かさない割に、疲労はたまりやすい働き方だ。

このような「オフィスに閉じこもって」を象徴するような調査結果が、2013年のデスクワーカーの実態調査によって確認されている。この調査では、デスクワークの疲労を感じたことのあるビジネスパーソンは87.6%にも上った。さらに、疲労を軽減するために行った対策で最も効果のあったものとして「定期的な運動」を挙げた人が58.8%にのぼる一方で、40%の人が「帰って寝るだけの生活」と、運動の効果を実感していながらも、結果として何もできていないビジネスマンの実態が明らかになっている。

「運動は健康にいい」ことは頭では十分わかっていても、実践できていない人が半数弱存在するという事実は、重くとらえなければならない。組織の健康と健全な経営の双方を維持していこうという「健康経営」も「投資」である以上、従業員の医療費軽減などの「効果」が求められる。運動したくてもできない人に、「運動しろ」とかけ声ばかりかけ続ける精神論では寂しい話である。

半数弱にも上る「運動で対策しようとは思っていても、帰って寝るだけ」になっている従業員への働きかけが重要なのはいうまでもない。PCスーツの配布は「帰って寝るだけの生活」からの現実的な解決を狙った、仕事をしながら“休む”施策とも言えるだろう。

ただ、こういった科学技術の導入はもちろん注目すべきだが、「ハイテクがあるから、休みはなくても仕方がない」となっては、本末転倒である。技術の進歩は、休みなしで働けるサイボーグを養成することが目的ではない。絶対的な「休み」が必要であることはいうまでもない。

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