ネズミが減らない要因の1つとして、専門性の低い駆除業者の存在もあると大庭さん。「安価でネズミ駆除をします」とウェブサイトやSNSでうたうが、実際は適切な知識やノウハウを持たない業者がいる。
ネズミ被害に困っている人が、安いという理由で依頼するが、業者はその場しのぎの対策しかせず、結局また現れてしまう……ということが起こっているのだという。
ビルや飲食店が密集した土地柄、不適切なゴミ出し・ゴミの管理、路上での飲食、スーパーラット、お粗末な業者など、さまざまな要因が絡み合って、歌舞伎町からネズミが減らないことがわかった。
「約1229万円」では難しい
では、新宿区が約1229万円をかけて行った対策は、どのくらいの効果が見込めるのか。大庭さんは「正直、この予算では難しい」と指摘する。
「本当にネズミを減らすなら、朝から晩まで業者が入れ替わり立ち替わりで、あらゆる建物やマンホールに毒エサを仕掛けたり、
仮に歌舞伎町のネズミを減らすことができても、ほかのエリアに集団移動し、そこで繁殖してしまうかもしれない。それでもいいのでしょうか、と大庭氏は疑問を投げかけた。
何とも難しい問題だと、さまざまな人に話を聞いて痛感した。新宿区の、少しでもネズミの増加に歯止めをかけたい、という思いにはとても共感できる。しかし、本当に成果を出すならば、予算や方法などを見直すべき、という専門家の見解ももっともだ。
1つだけ確かなのは、歌舞伎町に限らず、あらゆる場所で、人間とネズミの生活圏が重なっていること。そのため人間の生活エリアに入ってこないような対策をし、安心・安全を確保して共生していくしかないのだ。行政に丸投げするだけでは、その実現は難しいだろう。
たとえば、ゴミのポイ捨てをしない。そんなささやかで当たり前のことでも、1人ひとりが意識することで、何らかの歯止めになるのではないか。ネズミと向き合うには、「チーム歌舞伎町」でなければいけない。取材を通じて強く思った。
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