では、ネズミが大量発生することによって、歌舞伎町の住人にどのような悪影響があるのだろう。
大きいのは、やはり衛生面。ネズミはビルの隙間やゴミ捨て場、排水溝やマンホールの中など、あらゆる場所を行き来する。そしてさまざまな菌をまとい、ネズミが媒介となってまき散らかすのだ。すると、何が起きるか。
「よくあるのが、ダニの発生です。ダニがネズミの体に寄生し、増えていく。ネズミが建物に侵入すると、媒介となってダニが住み着く。すると身体がかゆくなったり、アレルギー症状が出たりすることもあります」
ネズミに噛まれて足を切断した人も
さらに深刻なのは、ネズミに噛まれてしまったケース。すぐに医療機関で適切な治療を受ければ、多くの場合は大事にならないが、「大丈夫だろう」とたかをくくって、大変な目に遭った人を見たことがあると大庭さんは言う。
「ネズミに足を噛まれて、放置してしまった方がいました。噛まれた箇所から細菌が入り、感染症になって患部が壊死し、膝から下を切断することになってしまったそうです。放置すると危険です、もし噛まれたらすぐ病院に行ってください」
また、ネズミが原因で火事が発生したこともある。するどい歯で電気の配線をかじり、漏電する。ネズミ自身の毛から火が上がり、建物が燃えてしまった事例もあったと大庭さんは続ける。
ネズミは存在自体が気持ち悪い、というだけでなく、たくさんの実害が伴うことを痛感した。
さらに恐ろしいのが、毒エサに耐性が付いた「スーパーラット」。ちょっとやそっとでは死なない個体がいると、2009年に学会で発表されている(環境毒性学会誌「国内におけるワルファリン抵抗性ネズミの現況:いわゆるスーパーラットについて」)。
それから15年以上が経ち、ネズミの抵抗力はさらに強まっていることが予想できる。


















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