不登校を繰り返す姉妹の"切なすぎる原因"――子どもの問題行動は、家族を守るためのサインかも
じつはこのとき彼女たちは、問題を起こすことで両親を団結させ、「両親の不和」という問題を解決しようとしていました。家庭環境を修復するために、自らが問題の「種」になっていたのです。これは、私が子どもたち、母親、父親それぞれの話を何度も聞いていく中で見えてきた事実です。
お母さんによると、彼女たちが学校を休み始める前、ご両親はしょっちゅう喧嘩をしていて、家の中には張り詰めた空気が漂っていました。
両親は、子どもたちに聞こえないよう、子どもたちが寝静まった後に話し合っていました。でも、姉妹にはその話し声が聞こえていました。内容はよくわからないけれど、不穏な様子が感じ取れ、夜になるたびに不安な思いを抱いて、姉妹で息をひそめていたのです。
その雰囲気を苦しく感じた姉は、「転換」という無意識の心理的メカニズムを使って、自分の気持ちを別の対象に向けさせることで、両親の注意を自分に引こうとしたのです。
家庭内の不和が一時的に解消された
転換とは、感情や不安を直接的な対象(この場合は両親の不和)に向けるのではなく、ほかのものに向ける心理的メカニズムです。姉は、無意識に家庭内の緊張感を解決しようと、自分の不安を学校に焦点を当てる形で表現しました。その結果、学校に行けないという状況を作り出したのです。
この行動によって、両親の姉に対する関心は高まり、家庭内の不和が一時的に解消されたように思えました。
姉は自らが「問題を抱える子ども」であることを通じて両親の注意を引き、家庭環境を改善しようとしたのです。両親は、彼女の問題を解決するという共通の目標に向かって協力せざるを得なくなり、喧嘩を中断します。
安心した姉は学校に通えるようになりますが、共通の目的を達成した両親は再びもとのように喧嘩を繰り返すようになります。すると今度は妹がその空気を感じ取り、自ら問題の種となって家族をつなぎ止めようとしたのです。
家族に共通の目的ができることで、夫婦の関係が一時、修復される。
家族に共通の「敵」を作り出すことで家庭環境を修復しようとする行為は、ほかにもさまざまな形で表れます。





 
        
       
        
       
        
       
        
       
           
           
           
          
         
         
         
         
        












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