不登校を繰り返す姉妹の"切なすぎる原因"――子どもの問題行動は、家族を守るためのサインかも

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

ある中学生の話です。「授業中、自分だけが2回も当てられた(先生の嫌がらせじゃないか)」「廊下を歩いていたら、近くにいた子が私を避けたような気がした(これはいじめじゃないか)」など、気になることがあれば、小さなことでもすぐに両親に報告していました。そのたびに両親は子どもと一緒に学校に対し、抗議を繰り返していました。

なぜ、彼らはこうなってしまったのでしょうか。

子どもが学校での出来事を報告すると、ふだんは仲の悪いご両親が、そのときばかりは力を合わせて学校に抗議します。

たとえば、「どうしてうちの子だけ2回も当てられたのか」「いじめた生徒に謝罪させろ」など、ささいなことでも「大きな問題」として学校に意見を言うのです。

このように、学校という家族共通の「敵」を設定することで、家族は一時的にチームとして団結し、ふだん疎遠な関係が改善されることがあります。

自分自身を犠牲にして家族をつなぎとめようとする子

子どもはそのことを深いところで理解し、自らそうした行動をとっていたのです。

3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた
『3万人の親子に寄り添ってきたスクールカウンセラーが伝えたい 10代の子どもの心の守りかた』(実務教育出版)。書影をクリックするとAmazonのサイトにジャンプします

こうしたケースは、決してめずらしくありません。

「子はかすがい」という言葉の通り、ときに子どもは、自分自身を犠牲にしてまで壊れそうな家族をつなぎとめようとすることがあります。

ですから、もしも子どもに何らかの困りごとがあり、その原因がはっきりしないときは、家族の関係性にも目を向けてみてください。ただし、それは犯人探しであってはいけません。子どもは、家族の誰も責めたくないのですから。

夫婦の関係性や、それぞれの実家・親戚とのかかわりなど、詳しいことがわからなくても、子どもは家庭の「空気」にとても敏感です。だからこそ、子どもにとって家庭が、安心できる場所であるよう心がけたいものです。

とはいえ、「家族」だからこそ話し合いが難しい場面もあるでしょう。そんなときは、スクールカウンセラーなど中立的な第三者に立ち会ってもらうことをおすすめします。

「こんなことで相談して、迷惑がられないかな?」などという心配は無用です。ささいに見える問題の中に、じつは大きな問題が潜んでいることもあります。ぜひ遠慮なく頼っていただきたいと思います。

普川 くみ子 公認心理師・臨床心理士

著者をフォローすると、最新記事をメールでお知らせします。右上のボタンからフォローください。

ふかわ くみこ / Kumiko Fukawa

1994年の学校導入期から第一線に立ち続けるSC。30年間で、小中高のべ30校・3万人以上の生徒・保護者・家族と向き合い続けてきた。不登校から自殺未遂まで、ケースを問わず救うカウンセリング手法により、担当する不登校児童の復学率は8割を超える。20年来共に生徒支援をしてきた学校改革のカリスマ・工藤勇一氏から「日本一のスクールカウンセラー」と絶大な信頼を得ている。

カウンセリング以外にも、親・教員・警察・医師・児童相談所等と連携した新しい生徒救済システム作りに携わるなど、いま学校教育界で最も注目されているSC。横浜創英のほか、岡田武史氏が学園長を務める愛媛・FC今治高等学校、教育界の風雲児・神野元基氏が校長を務める大分・東明館中高等学校のSCも務める。

この著者の記事一覧はこちら
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

関連記事
トピックボードAD
キャリア・教育の人気記事