マイクロブタの体に起こっていた"残酷な変化"の犯人――「こんなはずじゃ…」は飼い主の言い訳。ブームの裏で起こる問題を獣医病理医が指摘

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また、痩せているのとは反対に、肥満の子も少なくありません。肥満になると関節に負担がかかって傷めるほか、さまざまな病気の原因になるので、健康にとっては肥満もよくありません。

動物を飼うことは、その命に対して責任を負うことでもあります。

飼い主となった者は、その動物の寿命が尽きるまでの数年、あるいは数十年、絶え間なく世話を続けなくてはなりません。そしてその過程では、動物の病気や老いにも向き合わなくてはなりません。

健康で長生きさせる飼い方を勉強し続けなくてはなりませんし、場合によっては動物のために飼い主が自らの生活を変化させる必要も生じます。

人間の無知や身勝手で

動物を飼うということは、決して「かわいい」「楽しい」「癒やされる」ことばかりではないと、飼い主は知っておかなくてはなりません。これらの覚悟がないなら、その人はまだ動物を飼うべきではないでしょう。

今回はミニブタやマイクロブタのケースを取り上げましたが、獣医病理医という仕事をしていると、人間の無知や身勝手によって命を落とした数多くの動物と出会います。

そんな不幸な命が一つでも減るよう、僕はこれからも、さまざまな命の記録をみなさんにお伝えしていきます。

中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家

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なかむらしんいち / Shinichi Nakamura

1982年生まれ。大阪府出身。岡山理科大学獣医学部獣医学科講師。獣医師、博士(獣医学)、獣医病理学専門家、毒性病理学専門家。麻布大学獣医学部卒業、同大学院博士課程修了。京都市役所、株式会社栄養・病理学研究所を経て、2022年4月より現職。イカやヒトデからアフリカゾウまで、依頼があればどんな動物でも病理解剖、病理診断している。著書に『獣医病理学者が語る 動物のからだと病気』(緑書房,2022)。

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大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者

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おおたに ともみち / Tomomichi Ohtani

1982年生まれ。兵庫県出身。東京大学農学部卒業。同大学院農学生命科学研究科水圏生物科学専攻修士課程修了。同博士課程中退。出版社勤務を経て2015年2月にスタジオ大四畳半を設立し、現在に至る。農学・生命科学・理科教育・食などの分野の難解な事柄をわかりやすく伝えるサイエンスライターとして活動。主に書籍の企画・執筆・編集を行っている。著書に『増補版寄生蟲図鑑 ふしぎな世界の住人たち』(講談社)、『眠れなくなるほどキモい生き物』(集英社インターナショナル)、『ウシのげっぷを退治しろ』(旬報社)など。

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