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ライフ #獣医病理医からみた「動物の話」

マイクロブタの体に起こっていた"残酷な変化"の犯人――「こんなはずじゃ…」は飼い主の言い訳。ブームの裏で起こる問題を獣医病理医が指摘

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  • 中村 進一 獣医師、獣医病理学専門家
  • 大谷 智通 サイエンスライター、書籍編集者
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「小さくてかわいらしい」というイメージだけでマイクロブタを飼い始めた人のなかには、ほどなくして「こんなはずじゃなかった」と後悔する人が少なくありません。

実際、日本より一足先にブームが起きた欧米では、ミニブタやマイクロブタの飼育放棄が相次いでいて、社会問題にもなっています。

名称に「マイクロ」や「ミニ」とついていても、成長すればそれなりに大きくなること。また、餌が足りないと比較的簡単に衰弱してしまうこと。

こうした特性が十分に知られていないため、「餌の量を減らせば体が大きくならないだろう」と安易に考え、意識的あるいは無意識的に餌の量を制限してしまう飼い主が一定数いるのでしょう。

実際に動物病院の獣医師から、「ブタが大きくなりすぎないように、餌を減らす飼い主がよくいるんですよ」という話をしばしば聞きます。僕がマイクロブタの飼い主に直接行った聞き取りでも、「この人は無意識のうちに餌の量を減らしていたのではないか」と感じることがあります。

「いっそいなくなってほしい」

病理解剖を依頼してこられる飼い主の多くは「この子がなぜ死んでしまったのかを知りたい」と考えておられますから、みなさん愛情を持ってその動物を育てていたのでしょう。

しかし一方で、世の中には「実際に動物を飼ってみたら想像と違った。今となっては、いっそいなくなってほしいと思う」という人も残念ながらいます。

そのような飼い主の意識的あるいは無意識的なネグレクトによって、理不尽に命を落としているマイクロブタが少なからず存在するのではないか――そんな不安を、僕はここ10年ずっと抱いています。

持ち込まれる遺体の実に3割が痩せているという事実。

愛情を持って飼われていたであろうケースでさえそうなのですから、背後にどれほどの暗数(表に出ない数)があるのか……正直なところ、見当がつきません。

次ページが続きます:
【「動物を飼う」ということは】

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