マイクロブタの体に起こっていた"残酷な変化"の犯人――「こんなはずじゃ…」は飼い主の言い訳。ブームの裏で起こる問題を獣医病理医が指摘

✎ 1〜 ✎ 17 ✎ 18 ✎ 19 ✎ 20
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

いくら名称に「ミニ」や「マイクロ」とついていても、それは家畜のブタや野生のイノシシと比較してのこと。順調に成長すれば、ミニブタは体長1m・体重100kg、マイクロブタも体長60cm・体重40kgほどに達します。小学生の体重などを優に超えてくるのですね。

そうなると、狭い家屋内では飼育が難しくなってきます。

また、普段は大人しくても、不意に抱きかかえられて驚いたときなどには、甲高い悲鳴をあげて暴れます。体が大きくなれば、当然その鳴き声も大きくなります。

田舎にポツンと建った一軒家ならいざ知らず、住宅地やマンションなどで飼育するなら、飼い主はご近所トラブルが起きる心配を常に抱えていなくてはなりません。

そもそも、ペットとしてのマイクロブタの歴史はせいぜい20年。日本では10年ほどです。1万年以上の歴史を持つイヌやネコと比べて歴史は非常に浅く、現状では、彼らを健康的に飼うための情報が圧倒的に不足しているのです。

いったい何年くらい生きるのか。どのように飼えば健康で長生きするのか。高温多湿な日本において、最適な飼育環境はどのようなものか(ブタは体温調節が苦手です)。どのような病気にかかりやすいのか。最適な餌の種類や量はどのくらいなのか……など、動物を飼育するにあたりその飼い主が本来知っておかなければならない事項の多くが、よくわかっていません。

大きくならないように餌を…

動物病院にも、ペットのブタを適切に診察できる獣医師はほとんどいません。イヌやネコのような保険商品もありませんから、いざ病気になれば治療費は高額になります。

また、飼育にあたっては定期的な爪切り、オスの場合は牙(犬歯)のトリミングが必要です。予防接種や避妊・去勢手術も推奨されていますが、対応できる動物病院は非常に少ないので、飼育を開始する前から動物病院を見つけておく必要もあります。

次ページ「こんなはずじゃなかった」
関連記事
トピックボードAD
ライフの人気記事