「人は見た目が9割」「社会人は身なりが大事」を軽んじる人が知らない身だしなみの"本質"

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仕事でも、社内の簡単な打ち合わせならまだしも、上司への報告や取引先との商談では、他者の目を意識せねばなりません。

他方で、最近ではルッキズムへの批判が高まっています。見た目が9割どころか、外見について何かを言う、それ自体がハラスメントなのだ。そんな立場も強い。

厄介なのは、ここにいわゆる「昭和」の価値観が入り込むからです。

かつては「寝てない」とアピールしたり、わざわざよれよれのワイシャツを着たりといったかたちで、仕事に身をささげている姿を見せる人もいました。栄養ドリンク「リゲイン」のCMコピーが「24時間戦えますか」だった時代です。

けれども、もう時代は変わりました。「平成」以降を生きる上で、仕事をしていますよと見せるのではなく、あくまできちんとした身なりだと示す=清潔さを見せるところに、外見の意味(機能)が変わったのではないでしょうか。

この変化を考えるために役立つのが、「顕示的消費」という概念です。アメリカの経済学者ソースティン・ヴェブレンが生み出したもので、目立つためのお金の使い方をあらわしています。ヴェブレンが例に挙げたのが、まさに服装でした。

いまでもハイブランドの服を着たり、コーディネートをしたりと、財産やセンスを見せるための消費は、しばしば見られます。

では、なぜ職場での身だしなみ(のきれいさ)を「顕示的消費」によって考えられるのでしょうか。

ブランド物を身にまとっているならまだしも、ファストファッションなら、とても見せびらかしているわけではないはずです。みんなが着ている服を、気分を害さない範囲で、それなりにまとめているだけにほかなりません。

人は見た目が9割。その意味がここにあります。見かけを誇示するためではありません。あくまでも、あなたが変な人ではない、あるいは普通の人である、と見せるため(だけ)に容姿を整えてはどうでしょうか。

あなたは着るものでできている

あなたが他人に見せているのはお金でも趣味でもなく、まともに働ける人間である、そんなフツーさなのです。顕示=見せて誇るのは、あなたそのものであり、あなたの仕事への姿勢だと言えます。女性誌をはじめ、InstagramやYouTubeなどのソーシャルメディアでも「着回しコーデ」コーナーが支持される理由ともつながるでしょう。

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