大河【べらぼう】松平定信は「まだまだ手ぬるい」?幕府の厳しい言論統制で打ち首獄門にされた人物

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その結果、京伝は手鎖50日、蔦重は財産の半分を没収、という処罰を受けることとなった。事前にチェックすべき立場にあった「行事」の2人にも、商売取り上げの上、所払いを命じられ、3冊とも絶版ということになった。

かつて行われた幕府の言論統制

その後の京伝は「深く恐れて、是より謹慎第一の人となりけり」と、弟の山東京山が『山東京伝一代記』で書いているようにすっかり萎縮してしまったようだ。

先駆けて出版規制を行った徳川吉宗の息子・家重の代では、講釈師の馬場文耕(ばば・ぶんこう)が宝暦8(1758)年に著した実録本『森の雫』が問題視された。郡上藩で起きた一揆を美談にしているとし、文耕は江戸市中引き回しの上に、打ち首獄門にされている。

かつて行われた幕府の言論統制を踏まえれば、定信は「まだまだ自分は手ぬるい」ととらえていたのかもしれない。

【参考文献】
山東京山著「山東京伝一代記」『続燕石十種 第2巻』(中央公論社)
松平定信著、松平定光著『宇下人言・修行録』(岩波文庫)
藤田覚著『松平定信 政治改革に挑んだ老中』(中公新書)
高澤憲治著『松平定信』(吉川弘文館)
安藤精一他著『徳川吉宗のすべて』(新人物往来社)

真山 知幸 著述家

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まやま ともゆき / Tomoyuki Mayama

1979年、兵庫県生まれ。2002年、同志社大学法学部法律学科卒業。上京後、業界誌出版社の編集長を経て、2020年独立。偉人や歴史、名言などをテーマに執筆活動を行う。『ざんねんな偉人伝』シリーズ、『偉人名言迷言事典』など著作40冊以上。名古屋外国語大学現代国際学特殊講義(現・グローバルキャリア講義)、宮崎大学公開講座などでの講師活動やメディア出演も行う。最新刊は『大器晩成列伝 遅咲きの人生には共通点があった!』( ディスカヴァー・トゥエンティワン ) 、『ひょんな偉人ランキング ―たまげた日本史』(さくら舎)。「東洋経済オンラインアワード」で、2021年にニューウェーブ賞、2024年にロングランヒット賞受賞。
X: https://twitter.com/mayama3
公式ブログ: https://note.com/mayama3/

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