地銀64行が「女性の再就職」で手を組んだワケ 転居先の地方銀行でキャリアを活かせる!

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事務局は実績の管理はするが、紹介のやり取りは当該行の人事部同士で直接行う。銀行員が取得する資格の中には、転職によって消滅してしまうものものあるが、地銀人材バンクを利用する場合はほとんど継続できるようにした。

今年4月の創設から約半年、10月27日現在で39件の実績が上がった(21件が成約、15件は紹介中、3件は本人による辞退)。現時点の実績はすべて女性だが、ゆくゆくは男性の利用も出てくる可能性もあるだろう。なお、転居先から戻ったら、各行が持つ再雇用制度などを利用して、元の銀行で再び働くこともできる。

全国から女性行員が集まる会も

「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」は、地銀人材バンク以外にも積極的な取り組みを続けている。システムの共同化などは積極的に進められている地方銀行だが、実は人事担当同士の交流はほとんどなかったといっていい。

それが今では3カ月に1回のペースで「女性活躍推進研究会」を催し、各行の取り組みや関連データなどを全行で共有するような勉強会を行っている。また、同じく3カ月に1回開かれる「女性リーダー育成部会」は、各行精鋭の女性行員が集まってセミナーやグループワークを行っている。いずれの会も64行すべてが出席するという熱心さだ。

配偶者の転勤や介護などに伴う転居によって、これまでも多くの女性が退職を余儀なくされてきた。こうしたネットワーク化が地方銀行だけでなく、全国各地を基盤とするほかの業界にも広まれば、女性が働き続けられる機会は格段に増えるに違いない。

堀越 千代 東洋経済 記者

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ほりこし ちよ / Chiyo Horikoshi

1976年生まれ。2006年に東洋経済新報社入社。08年より『週刊東洋経済』編集部で、流通、医療・介護、自己啓発など幅広い分野の特集を担当してきた。14年10月より新事業開発の専任となり、16年7月に新媒体『ハレタル』をオープン。Webサイト、イベント、コンセプトマガジンを通して、子育て中の女性に向けた情報を発信している

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