2015年4月、「地銀人材バンク」が創設された。白井さんは3月末で4年間勤めた福井銀行を退職したものの、人材バンクを利用して同行人事部から横浜銀行への紹介を受けた。その後すぐに採用選考を受け、6月に内定、7月の入行が決まる。
「横浜に来てからいろいろな求人を眺めていましたが、これといった仕事は見つかりませんでした。再び銀行の仕事ができると聞いてうれしかったです」と白井さん。福井銀行で所属していたのは田舎町の小さな支店。都会の大きな支店で本当にやっていけのるか不安はあったというが、実際に働き始めるとその不安は払拭され、やりがいのほうが勝ったという。
受け入れ側の横浜銀行にとっても、銀行での経験を持つ白井さんは即戦力だ。もともと経験者のキャリア採用に力を入れていたこともあり、中途採用で入行した人でもなじみやすい風土がある。女性行員が活躍できるような仕組みも整えており、出産を機に退職する人はわずか2.7%しかいない。今後、白井さんが出産などのライフイベントを迎えたとしても、働き続けられるようなサポートの体制は手厚い。
地銀人材バンクについては、白井さんのような受け入れ事例だけでなく、他県に転居する行員を他行に紹介した事例もあり、女性の活躍を支援する仕組みとして有効だと考えている。横浜銀行人財部ダイバーシティ&インクルージョン推進室の堀田貴子室長は、「こうした仕組みは今後も積極的に活用していきたい」と期待を寄せる。
転職しても資格を継続保有できる
地銀人材バンクの創設構想は以前からあった。千葉銀行では2年ほど前に、結婚に伴う転居により退職することになった女性行員を転居先県の地銀に紹介をしたという経験があった。
「ただ、このケースはたまたま先方の地銀とシステムの共同化作業を進めていたこともあって、直接の口利きで実現した。でも、地銀同士がもっと幅広く密なネットワークを築いていれば、さまざまなケースに対応できるのではないかと考えられていた」(千葉銀行ダイバーシティ推進部の山本悠介氏)。
「輝く女性の活躍を加速する地銀頭取の会」の発足を機に、千葉銀行に置かれた事務局を中心に、このネットワーク化が本格的に推し進められることになった。64行の人事窓口を明確にして最新の名簿を共有。紹介については共通のフォーマットを作成してルール化した。
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