高市早苗新総裁の素顔、ジェンダー平等を推進する立場とは一線を画す姿に「おじさんの意見を女性の口から発して喜ばれるタイプ」との分析も

高市早苗前経済安全保障担当相が女性初の自民党総裁に就任した。積極財政と伝統的な国家観を重視する姿勢で知られる。「鉄の女」と呼ばれたサッチャー元英首相を敬愛しており、保守色の強い同氏の下で党再生を図る。
国会で首相に選出されれば日本史上初の女性首相となる。高市氏の勝利は女性の地位向上を妨げてきた「ガラスの天井」に風穴を開け、日本の政治に新たな一歩を刻んだ。ただ、本人は選択的夫婦別姓の導入に反対するなどジェンダー平等を推進する立場とは一線を画している。
総裁選出直後のあいさつでは「全員に馬車馬のように働いていただく。自身もワークライフバランスという言葉を捨てる。働いて働いて働いて働いて、働いて、参ります」と意気込みを語った。
早稲田大学の中林美恵子教授(政治学)は、女性から見ると高市氏は「おじさんの意見を女性の口から発して喜ばれるタイプ」と分析する。選択的夫婦別姓に対する姿勢を例に挙げ、多くの女性が高市氏について女性を代表しているとは感じていないとの見方を示した。
安倍後継者
高市氏は64歳。初めて挑戦した2021年の総裁選では、安倍晋三元首相が「女性初の総理大臣、いいじゃないか」と支援。「アベノミクス」の流れを引き継ぎ、金融緩和に加えて緊急時の機動的な財政出動、大胆な危機管理投資・成長投資で物価目標2%の実現を目指す「サナエノミクス」を掲げた。
22年に安倍氏が他界した後、政治資金規正法違反事件が旧安倍派を直撃。無派閥だった高市氏は、24年の総裁選で安倍氏の後継者的存在として保守層の支持を集めた。党員票では最多を獲得したものの、国会議員票の比重が高まる決選投票で石破茂氏に敗れた。