「坊主丸儲け」のことわざは大きな事実誤認…非課税でも実は意外とシビアな【お寺の懐具合】を探る

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これもまた、どこかに統計的な裏付けがある話ではなく、お寺業界のなかで何となく言われていることに過ぎないのだが、1年の間に寺の抱えている檀家からは、だいたい5%ほどの葬式が出るといわれている。

つまり100軒の檀家を持っている寺があった場合、その檀家全体からは年間5人の死者が出る、すなわち寺としては5回、葬儀を執り行うことになるという話である。

そして、今の日本人が葬儀に際して寺に払うお布施の平均額は、約42万円である。人の生死にまつわる話でこのようなことを言うのも不謹慎だが、つまり100軒の檀家を持つ寺が葬儀で得られる年間収入額は、42万円×5=210万円となる。これでは世間一般でもさすがに"低収入"と言われるような金額だ。

そこで"食っていけるお寺"のモデルケースとして、ここでは檀家250軒の寺として計算してみよう。

年商1000万円超には檀家250軒が必要

檀家が250軒あれば、年間のうちにそこから5%、すなわち250×0.05=12.5回の葬式が出る。そうなると寺としてのお布施収入は、42万円× 12.5=525万円だ。たしかに一般のサラリーマンたちの平均収入と比較しても、遜色ない金額になってくる。

現在の日本の寺の収入とはおおむね、この葬儀を執り行うことによって得られるお布施を主要な柱とするのだが、ほかにも護持会費、つまり檀家から得られる"会費"も、サブ収入といった形で存在する。

この護持会費はおおむね、墓地の管理料を兼ねている場合が多く、相場は1万~2万円程度と言われる。ひとまず計算を容易にするため、250軒の檀家がいる寺の護持会費収入は、250万円であると考えよう。

また、寺は檀家の法事、すなわち一周忌や三回忌などの際に、法要を執り行う。この法事の際のお布施の相場は、数千円~3万円、多い場合でも5万円程度だとされている。

これも250軒の檀家がいる寺の場合は、だいたい檀家1軒あたりから年間1万円ほどの法事収入があると推測し、250万円と考えてみよう。

そうなると250軒の檀家がいる寺は、寺院としての宗教活動の結果、年間で525万円(葬儀からのお布施収入)+250万円(護持会費収入)+250万円(法事からのお布施収入)=1025万円ほどの収入があると推定することができる。

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