南シナ海では中国の存在感が高まっている

アメリカ軍を「量」で凌駕

ベイトマン氏や他の同地域の安全保障専門家らは、航行の自由を掲げて哨戒活動を行う米艦船は今後、それを阻止しようとする中国の艦船に包囲されることになる可能性を指摘する。

中国国営メディアの報道によると、一部の中国人専門家は、中国が米艦船を阻止するための作戦を行うと警告している。

行動基準によって、米国の艦船は攻撃の口火を切ったり、事態をエスカレートさせたりすることには消極的となり、撤退を余儀なくさせられる可能性があると、ベイトマン氏は述べた。

米海軍はコメントを差し控えている。

だが、メイバス米海軍長官は近年、艦船数増加を優先事項としており、多くの場で「量は質を兼ねる」と語っている。

プレゼンス拡大

艦隊の増強や巡視船への取り締まりの一本化などから、南シナ海における中国のプレゼンスが着実に拡大していると、同海域で活動する海軍将校らは口をそろえる。

また、巡視船が同海域で従来は海軍が行ってきた哨戒活動の多くを担う一方、中国の探知能力が進歩したことで海軍も近くにいることが可能となったと将校らは指摘する。

過去2年間の南シナ海の衛星画像を見た専門家と海軍将校らは、中国の艦船は領有を争う複数の場所で半永久的なプレゼンスを維持しているとの見方を示した。

その中には、フィリピン沖の黄岩島(同スカボロー礁)や仁愛礁(同セカンド・トーマス礁)、西沙諸島(同パラセル諸島)からスプラトリー諸島の北部にかけて存在するいくつかの礁、マレーシアのサラワク沿岸沖にある南康暗沙(南ルコニア礁)が含まれる。

中国海軍はまた、マレーシアに近い曾母暗沙(同ジェームズ礁)付近でも哨戒活動を行っている。

中国は2013年1月以降、ほぼ常にプレゼンスを維持できるように巡視船を巡回させていると、オーストラリア国防大学で南ルコニア礁での状況を研究するスコット・ベントレー氏は指摘。

「中国は初めて、九段線全体を明確に主張するだけでなく、その域内の海域で領有権の主張を積極的に拡大しようとしている」と同氏は語った。

(Greg Torode記者、翻訳:伊藤典子 編集:下郡美紀)

政治・経済の人気記事
トピックボードAD
関連記事
  • 井手隊長のラーメン見聞録
  • コロナ後を生き抜く
  • 新競馬好きエコノミストの市場深読み劇場
  • 越湖信一のスーパーカー列伝
トレンドライブラリーAD
アクセスランキング
  • 1時間
  • 24時間
  • 週間
  • 月間
  • シェア
トレンドウォッチAD
菅新政権が誕生しても<br>「安倍時代」は終わらない

牧原出氏執筆の連載「フォーカス政治」。9月16日に菅新首相が誕生しましたが、施策の基本線は「安倍政権の継承」。惜しまれるように退任し、党内無比の外交経験を持つ安倍前首相は、なお政界に隠然たる影響力を保持しうるとみます。その条件とは。

東洋経済education×ICT