日韓鉄鋼大手が火花、揺らぐ「鉄の絆」の行方 新日鉄住金vsポスコ、技術盗用訴訟の顛末
3年半続いた“親戚筋”の争いは、たった2枚のプレスリリースで幕を閉じた。鉄鋼大手の新日鉄住金は9月30日、韓国ポスコとの訴訟で和解したと発表した。
旧新日本製鉄は2012年4月、変圧器などに使われる方向性電磁鋼板の知的財産権を侵害されたとして、ポスコに対し約1000億円の損害賠償を求めて提訴していた。
和解内容はポスコが新日鉄住金に300億円を支払うこと。ほかに、ポスコから新日鉄住金へのライセンス料の支払い、販売可能地域の制限といった条件があるもようだ。
50年以上続く浅からぬ関係
両社の浅からぬ関係は50年近くに及ぶ。端緒となったのは1965年の日韓基本条約締結である。
韓国が日本の植民地支配に対する賠償請求権を放棄する代わりに、旧富士製鉄と旧八幡製鉄(後に合併して新日鉄)など3社が韓国内に製鉄所を立ち上げるため、技術支援を行った。これを機に生まれたのがポスコだ。
その後、ポスコは製鉄所の拡張を進め、2000年ごろには粗鋼生産量で新日鉄と並ぶ規模に拡大。韓国内2カ所の拠点で集中生産し、高い利益水準をたたき出していた。
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