新日鉄住金、出口なき南米拠点の主導権争い 合弁事業をめぐる対立が世界戦略の足かせに
2017年度までの中期経営計画で海外事業の強化を打ち出す新日鉄住金。その海外戦略の最重要拠点であるブラジルの持ち分会社・ウジミナスで、経営権をめぐる争いが混迷を極めている。
4月6日、同社は取締役会議長を選出するため、臨時株主総会を開いた。この前段に当たる経営審議会で、共にウジミナスの大株主である新日鉄住金と南米の鉄鋼大手テルニウムが、昨秋に続いて火花を散らしたのだ。
新議長をめぐって、新日鉄住金がパウロ・ペニード議長の続投を、テルニウムがウジミナス従業員年金基金の代表で経済学者のリタ・フォンセカ氏を、それぞれ推薦したが、議論は平行線のまま。最終的に新議長には、一般株主代表のマルセロ・ガスパリーノ弁護士が選ばれた。
当初は蜜月の仲だった
新日鉄住金にとって、ウジミナスは特別な存在だ。会社設立当初から60年以上にわたって協力関係にあり、現在は南米にある自社の加工拠点に自動車用鋼板の母材を供給する一大拠点でもある。
2011年、ブラジルの鉄鋼大手・ナショナル製鉄がウジミナスの経営権を握ろうと同社の株式を取得した際には、テルニウムを株主間協定に引き入れ、主導権を守り抜いた。
株主間協定はブラジル独特の制度で、役員の選任や株式の売買など重要事項について大株主が優先的に決定する権利を持つというもの。現在は新日鉄住金とテルニウム、従業員年金基金の3者が株主間協定を結んでおり、そこに一般株主の代表を加えた4者で取締役会を構成している。
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