新日鉄住金、出口なき南米拠点の主導権争い 合弁事業をめぐる対立が世界戦略の足かせに

著者フォロー
ブックマーク

記事をマイページに保存
できます。
無料会員登録はこちら
はこちら

印刷ページの表示はログインが必要です。

無料会員登録はこちら

はこちら

縮小

2012年に結んだ株主間協定では、協定内の持ち株比率は新日鉄住金を含む日系企業グループが46.1%で、テルニウムグループの43.3%、従業員年金基金の10.5%を上回る。この比率は現在も変わっていない。

協定の締結に合わせて新日鉄住金とテルニウムは、ウジミナスのCEO(最高経営責任者)にテルニウム出身のフリアン・エグレン氏を据える新たな執行体制で合意。任期は2012年4月からの2年間としていた。

ところが、両社の蜜月関係は突如として終わりを迎える。きっかけは、エグレンCEOを含むテルニウム出身の執行役員3人の報酬をめぐる問題だった。

2014年春に実施されたウジミナスの社内監査で、執行役員3人が受け取った報酬が不正なものである可能性が浮上。同年7月から9月には、2つの外部監査法人によって追加調査が行われた。これと並行する形で、CEOの選任方法についても両社の意見が対立した。

かみ合わない両社の主張

テルニウムのノビヒルCEO

そして激しく火花が散ったのが、2014年9月25日の取締役会だった。

執行役員3人の解任をめぐって、日系グループと一般株主代表が賛成票を投じたのに対し、テルニウムグループと従業員年金基金が反対票を入れた。両陣営の票が真っ二つに割れたため、ペニード議長の裁定で、執行役員3人の解任が決定した。

新日鉄住金は一貫して「コンプライアンス上の違反があったのだから、解任決議は適法かつ有効だ」と主張。

一方のテルニウムは「執行役員の報酬は取締役会で認可されている」と反発。解任決議の無効を裁判所に訴えたほか、同社のダニエル・ノベヒルCEOは「新日鉄住金はウジミナス経営の独占的支配を狙っている」と非難した。

次ページ振り上げた拳をどう下ろすのか
関連記事
トピックボードAD
政治・経済の人気記事