10月5日(日曜日)の日本時間深夜(23時5分)、フランスで世界最高峰のレースの1つ「凱旋門賞」が行われる。
今や、日本の競争馬のレベルは世界で断然トップであるが、この凱旋門賞だけは、まだ勝てていない。しかもアメリカの最高峰のレース、ブリーダーズカップクラシックのように、挑戦した馬が少ないならともかく、毎年、日本最強クラスの馬が複数参戦し続けているのに、勝てない。
理由はいくつかあるが、最大のものは、10月のフランスのロンシャン競馬場というコース設定があまりに日本馬に向いていないということだ。毎年雨が降り続き、ただでさえ重くて深い芝の馬場が、とことん重くなり、世界最強のスピードを誇る軽やかな走りの日本馬たちにとっては、大変苦手な馬場になるのである。
凱旋門賞は「2つの相反する能力」を持っていないと勝てない
これは誰もが知っていることだが、もう1つ重要なのは、欧州の中長距離のレースというのは、日本やアメリカのレースとまったく違って、最後の最後まで、ゆったりリラックスして走らせ、そこから一気にギアチェンジして、トップスピードで2ハロン(400メートル)を駆け抜けるというものだからだ。
スピード自体は、日本競馬の直線の方が断然速いのだが、その一気のギアチェンジと、それができる馬(反応が早い馬)でありながら、前半、中盤は完全にリラックスして集団の中で走ることができる、という2つの相反する能力を持ち合わせていないといけないのだ。
日本の馬は、反応は抜群だが、感度が高すぎて、前半を超スローにもかかわらず、まったく気にせずリラックスして走ることができない。前半リラックスできる馬は、日本ではスピード不足で勝てないので、一流とならないし、フランスでも、直線のスピードが欧州の超一流馬には若干及ばない。だから、凱旋門を日本の馬で勝つことは、とことん大変なのである。それゆえ、凱旋門賞は「日本馬にとって、世界一向かないレース」と言っていいだろう。
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