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歴史上最大の陰謀論が人類を自滅させることに気づかないわれわれ、 2025年の陰謀論の「本当の怖さ」はどこにあるのか

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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2つ目の危険性は、より壮大な危機だが、構造は1つ目の危険性と同一である。すなわち、「歴史」そのものがファンタジーかつ陰謀論となり、それが社会を壊しつつあるということである。

歴史とはナラティブであり、今や経済もマーケットもナラティブである、とという禁断の秘密を、人々は、正々堂々と語るようになり、こともあろうにむしろ「良い」現実として受け止めるようになってしまった。

人類は、自然という暗黒の恐ろしい畏怖の対象を、神話として、創世記として、人類とかかわりを持たせ、このファンタジーを現実と区別できないようにするために、古くは『古事記』や『日本書紀』のように、統治の正当化の物語として利用した。

民主主義も資本主義も、陰謀論と同じ構造にすぎない

一方で、呪術など自然を恐れたままであったが、それを克服するために、フィクションとしての神を作り上げ、自然の摂理の代わりに神を恐れるようになった。

しかし、それは自分たちで作ったものであるから、畏れも半減した。さらに、自然の摂理は解明できるものとして「科学革命」を起こし、自然を畏れることはない、無知から脱却しようとした。無知からの脱却は素晴らしいことだったが、自然を支配できると勘違いしたことは冒涜であり、ファンタジーを現実化しすぎた陰謀論にしてしまい、自壊を始めた。社会も居住環境も同じメカニズムで破壊され始めた。

神ももはや不要となり、何も恐れるものはなくなった。同時に、神では面白くないので、もっと現実感のある、自分たちで作った世の中の摂理を主張し始めた。自分たちで動かせるように、自己実現が可能な、民主主義、資本主義という原理で社会を支配した。

しかし、これらが絶対的な原理、絶対的な真理であるかどうかは、問わないままだった。なぜなら、それを検証することはできないから、ファンタジー的陰謀論と同様に、検証するのは野暮と考えた。歴史的検証はあり得たが、かなり面倒であり、かつ現実を全否定することになりかねず、みんなが不幸になるからという理由で、歴史をナラティブに変えてしまった。経済も市場も同様となった。

つまり、現代世界のすべての摂理だとわれわれが信じているものは、陰謀論と同じ構造にすぎないのであり、それが陰謀論であったことは永遠に誰も気づかないのである。こんな恐ろしい話は、陰謀論にすぎない、と片付けてしまうしかないのである(本編はここで終了です。この後は競馬好きの筆者が競馬論や週末のレースについて予想するコーナーです。あらかじめご了承ください)。

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