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歴史上最大の陰謀論が人類を自滅させることに気づかないわれわれ、 2025年の陰謀論の「本当の怖さ」はどこにあるのか

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  • 小幡 績 慶応義塾大学大学院教授
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いわく、透明性と説明責任が重要である。すべてのものは透明にしなくてはならない。秘密は1つもあってはいけない。ガバナンスは重要である。経営者も政治家も、常に社会全体でしばりつけなくてはいけない。

いわく、変化こそが重要である。既存のシステムは常に破壊され、更新されなければならない。イノベーションこそが社会を進歩させる。創造的破壊が最重要である。

いわく、科学技術の進歩は絶対である。最新の科学技術は常に社会をよくする。人類は科学によって進歩しなければならず、社会もそれによってのみ進歩する。

いわく、民主主義は絶対である。いかなる独裁者も倒されるべきであり、より徹底した民主主義だけが社会をよりよいものにする。

無関係な「現実の世界」が少しずつ関係のある「現実の世界」に

しかし、これらの「より深遠な陰謀論」が、経済を、社会を、人類を、おかしくしてきたということに、人々の一部はうすうす気づいてきたのである。まだ気づいていない人々も、無意識のうちに、この「深遠で壮大な」陰謀論をかき消すために、よりちゃちで単純な陰謀論を振りかざすようになったのである。

2025年の陰謀論の危険性は、2つある。まず、1つ目は目先で起きている、陰謀論を楽しむことにより世界を自ら少しずつ破壊していることである。つまり、現実とファンタジーの世界を無意識ではあるが意図的に錯綜させ、それを楽しみ、その麻薬をより強くして、よりリアルに近いものにし続けた結果、無関係な「現実の世界」は、ファンタジーの遠い世界は、よりファンタジーを面白くするために、少しずつ関係のある「現実の世界」になってきた。

ファンタジーという麻薬を陰謀論に変えることにより、現実っぽくし、幻想の世界をリアルっぽくし、さらに自分から無関係なものをほんのちょっぴりだけ関係させることにより、よりリアルで刺激的な麻薬とした。政治はその格好の領域である。無関係だが、1票は持っているからである。

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