歴史上最大の陰謀論が人類を自滅させることに気づかないわれわれ、 2025年の陰謀論の「本当の怖さ」はどこにあるのか

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陰謀論も同様で、SNSで陰謀論が流れてきたら、その陰謀論が楽しそうなら、それに乗るし、イケてない陰謀論なら無視するだけのことだ。儲かりそうなバブルに乗り、自分が楽しめそうな陰謀論に乗るのだ。

目を覚まさせるためには、ファンダメンタルズという現実を突きつけるしかないわけだが、それでは興ざめであり、「水を差すな」、と怒られる。わかっている人たちも、「踊らにゃソンソン」という人々の集団に加わらなければならないのだ。「音楽が鳴っているうちは、踊り続けなければならない」。アメリカのシティグループ・最高経営責任者(CEO)だったチャック・プリンス氏が、サブプライムバブルの真っ最中の2007年夏に述べたとおりだ。

今や「陰謀論とファンタジーが同化」

さて、陰謀論とはファンタジーである、という私の仮説は、調べてみると、これまでもさまざま指摘されてきたことのようだ。しかし、多くの場合は、陰謀論とファンタジーはどこが違うのか、その相違点に議論が集中している。

例えば、陰謀論の信奉者は、それを真実と主張するが、ファンタジーの読者は虚構として楽しむ。陰謀論では、既存の事実や合意された見解を否定し、別の説明を提示するが、ファンタジーは、現実世界とは切り離された、独自の架空世界を構築する。そして、陰謀論においては、反証不可能なように設計され、反対の証拠があっても無視される傾向があるが、ファンタジーにおいては、証拠の有無は問われず、物語の論理や世界観が重要視される、といった具合である。

さらに、社会への影響として、ファンタジーが人々に「回復」や「慰め」をもたらすのに対し、陰謀論は現実認識を歪め、社会に深刻な影響を及ぼす点が決定的な違いである、と指摘されている。

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