トヨタでは「頑張っている風」は評価されない 忙しく見える人ほどムダが多い!

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必要事項を記載した書類をプリントアウトして、自席に戻って印鑑を押し、経理部に提出して戻ってくる。そして、最後に部下の企画書をプリントアウトして赤入れし、それが終わったら会議室へ向かうとします。このように仕事を進めた場合には、仮に各場所の距離感を図のようにした場合には、図のように126メートル歩くことになります。

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優先度だけでなく、歩行距離を意識することで効率よく仕事を進められる

一方で、アジェンダは緊急性が高いとはいえ、プリントアウトするだけ。ですから、後で着手することにし、かわりに、部下の企画書の赤入れでプリントアウトしたものをコピー機に取りに行って自席に戻る。その仕事が終わった後に、出張申請とアジェンダと同時にプリントアウトして印鑑持参で取りに行けば、その足で経理部へ、さらには会議室へと行くことができます。

この場合の歩行距離は、60メートル。先ほどの半分以下です。わかりやすくするために身近な事例でお伝えしましたが、もっと広い範囲の出張であれば、より大きな差が生まれてきます。

仕事は「主作業」「付随作業」「ムダ・例外作業」に分類されますが、仕事の付加価値を生むのは「主作業」です。そして、ほとんどの場合、人の動き・モノの運搬・情報の流れのそれ自体が付加価値を生むことはありません。つまり、「ムダ・例外作業」であり、極力少なくするべきなのです。

がむしゃらに「頑張る」ことを目指さない

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しかし「運搬のムダ」については、日本特有の「頑張っている」とされる価値観・評価基準から、「ムダ」と認識されづらいという背景があります。

皆さんは、「動き」と「働き」の違いがわかりますか。たとえば、社内外にフットワークよく出かけていくけれど成果が上がってない営業担当者と、顧客訪問は限られたタイミングのみで社内にいることが多いものの、成果が着実に上がっている営業担当者とでは、どちらが望ましいと思いますか。

いろいろな判断基準や価値観があるとは思いますが、付加価値の面では後者のほうが正解ですよね。

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