トヨタでは「頑張っている風」は評価されない 忙しく見える人ほどムダが多い!
また、「動き」と「働き」の違いは付加価値を生むか否かです。「動き」は物理的な動作を伴っているので、さきほどの営業の例のように見た目にも奮闘している様子がわかりやすく、そのプロセスから「あの人は頑張っている」と評価を受けがちです。一方で、「働き」は、物理的に派手な動きはないかもしれませんが、付加価値を生む動作に特化しています。さきほどの事例のように、物静かで楽に構えて見えることも多いため一見「頑張っていない」ように見えるのですが、付加価値を生むために時間やパワーなどのリソースを非常に効果的に使っています。
頻繁に出張する・バタバタと動き回る・汗を垂らしてモノを運ぶなどをしていると、一見「頑張って」いるように見えがちです。あるいは、ご自身でもそのように感じるかもしれません。しかし、付加価値を高めない歩行・運搬等は、最小限にすることが会社のため、そして自分のためになるはずです。
目指すは「席を立っても、タダでは戻らない人」
それでは、「運搬のムダ」はどのようにしてなくしていけばよいのでしょうか。
ポイントは、全体の流れの俯瞰との組合せです。つまり、その仕事単体ではなく、自分が持っている複数の仕事の全体を見て仕事の順番や進め方を変更し、複数の歩行や運搬を組み合わせることで、回数自体を減らすのです。
さきほどのコピー機の事例でも、3つの仕事の順番を変えて、コピー機・経理部・会議室の移動を組み合わせ、コピー機と自席の往復の回数も減らしました。
歩行や運搬をゼロにすることは難しいですが、極力その回数を少なく・距離を短くして、1回あたりの付加価値を上げましょう。「転んでもただでは起きない人」という表現がありますが、「席を立ってもただでは戻ってこない人」を目指すのです。
次は「動作のムダ」です。「付加価値を生まない動き」という意味ではさきほどの「運搬のムダ」と似ていますが、こちらはもっと狭い範囲で、主には腕がとどく範囲での動きを対象としています。
先ほどの「運搬のムダ」が「バタバタと行ったり来たり」だとしたら、こちらは「あっちこっち手を伸ばす」というイメージです。製造現場ならある部品を取るたびに背伸びをしてとっているケース、オフィスなら右利きなのにボールペンを左のペン立てからとっているケース、家庭であれば必要な材料を取るたびに冷蔵庫を開けるというケースがあります。
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