「大型犬や多頭飼いOK」「専用ドッグガーデンに相談室」…。ペットと暮らせる"進化系"賃貸物件に熱視線。ニーズは「ペット可」から「ペット共生」へ

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また、共用部については、足洗い場や居住者同士のコミュニティスペースなどを設置することにしている。なお、コミュニティスペースは、敷地や建築の条件に応じてドッグランやコモンスペースなどを設置する。

とはいえ、こうしたハード面は他社も設置できるもの。旭化成ホームズならではなのが、入居者のペットと飼い主に対する継続的なサービスの提供にあるという。

まず、入居前にはペット審査がある。そこでは、ペットの健康状態やしつけの状況などのほか、飼い主がペット飼育のルールに賛同できるかなども確認される。トラブルの発生が明らかに予想できる場合は、入居を断ることもあるのだ。

飼い主は入居後に、「+わん+にゃん倶楽部」に入会することになり、会員向けWEBサイトから、役立つ情報をいつでも入手できる。さらに、入居者同士のコミュニケーションを形成するイベントやさまざまなセミナー、専門獣医師や提携トレーナーへの相談、ドッグトレーナー出張サービス(レッスンは2回まで無料。一部サービス対象外エリアあり)などのサービスが、すべて無料で提供される。

こうした多様なサービスを提供できるのは、ペット共生型賃貸住宅の専門チームに獣医師の資格を持つスタッフがいることも理由のひとつだ。これまでに培ったノウハウと専門知識に裏付けられたサービスを継続できることが、同社の強みのようだ。

また、筆者が興味深いと思ったのは、ペットを飼う住戸で敷金の上乗せなどをしていないこと。厳格な入居審査やしつけに関するサポートを行うと、部屋を傷つけないように生活してくれるので、退去時に改修費用が高額になりづらいからだそうだ。

近年は、ペットを家族と考える飼い主が増加していることから、賃貸経営の差別化戦略として、賃貸オーナーのペット共生型賃貸住宅への関心は高いという。建築コストは高くなるが、付加価値により賃料を上げられる点も魅力なのだろう。

「ペット共生型」賃貸物件の広がりに期待

さて、単なる「ペット可」の賃貸物件の数は多くなっているが、「ペット共生型」の賃貸物件はまだ少ないのが実態だ。「ペット共生型」の特徴は、家族であるペットと共に豊かに暮らせること、さらに、ペットを飼っていない人も快適に安全に暮らせることにある。

ペット共生型の賃貸物件に取り組む事例を紹介してきたが、こうした物件が増えるのは望ましいことだ。大型犬も家族の一員なだけに、共に暮らせる賃貸物件が増え、住まい選びの選択肢が増えることを期待したい。

山本 久美子 住宅ジャーナリスト

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やまもと くみこ / Kumiko Yamamoto

早稲田大学卒業。リクルートにて、「週刊住宅情報」「都心に住む」などの副編集長を歴任。現在は、住宅メディアへの執筆やセミナーなどの講演にて活躍中。「SUUMOジャーナル」「All About(最新住宅キーワードガイド)」などのサイトで連載記事を執筆。宅地建物取引士、マンション管理士、ファイナンシャルプランナーの資格を有す。

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