「大型犬や多頭飼いOK」「専用ドッグガーデンに相談室」…。ペットと暮らせる"進化系"賃貸物件に熱視線。ニーズは「ペット可」から「ペット共生」へ

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次に、2024年度に同社の既存のペット可賃貸マンションで、期間限定の犬の保育園を運営し、WEBサイト上で3000人近いサポーターを集め、継続的にペットオーナーの意見を求めた。その結果、ペットオーナーのさまざまなニーズが確認できた。

プロジェクトでは今後、実際の賃貸マンションで新サービスを導入した事例をつくり、詳細を検証しようとしている。1号物件は未定だが、共用部にドッグランを設けたり、専有部の仕様をペット対応にしたりといったことも検討しており、賃料の一部に上限回数までペットシッター等のサービスを利用できる(上限を超える場合は有料)プランを想定している。

実際の事例で成功すれば、ペット共生型賃貸マンションのシリーズ化も視野に入るという。

旭化成ホームズは「継続的なサービス」に強み

ペット共生型賃貸住宅で多くの実績を持つのが、旭化成ホームズだ。 “ALL for LONGLIFE”をモットーとする同社は、早くからペット共生型賃貸住宅に取り組んできた。

住宅メーカーなので、自社が建ててオーナーになるのではなく、賃貸オーナーに経営の長期安定化を目指してペット共生型賃貸住宅「ヘーベルメゾン(+わん+にゃん)」を建てることを提案している。もちろん、大型犬や多頭飼育(最大3匹まで)も可能にしている。

そうして建築された物件の管理を自社で請け負っているわけだが、2006年の第1号の完成を皮切りに実績を重ね、2024年度のペット共生型賃貸住宅の管理戸数は、1万6467戸に達している。

その長年のノウハウを集約して、2025年5月に「ヘーベルメゾン(+わん+にゃん)」のペット仕様をリニュアルした。まず、ペットの足音や吠え声を軽減するために、床や壁の遮音性能を高める仕様にした。これにより、1階だけでなく、2階以上でも大型犬の飼育ができるようになった。

次に、住戸内では、次のような標準仕様の例がある。

・「ペット対応フローリング」:ペットが滑りづらい加工をした床材
・「壁クロス見切り」:あらかじめ腰の高さで壁クロスの見切りを設けておくことで、ペットのひっかき傷や汚れによる張り替えは壁の下部分だけで済む
・「ペット対応建具」:ペット用のくぐり戸のある扉は両側サムターン付きなので、ペットによる扉の開け放しを防止できる
・「Pet BASE(ペット ベース)」:LDKの一角にペット専用の空間を設け、ペット用品を収納する棚や作業用カウンターなどを設置したもの。気になるペットの臭いを脱臭する「イオン発生機」も設置

このほか、猫のための「ねこ道」や「ねこ窓」などの仕様も設定している。ポイントは、つくりこみすぎないことだという。

Pet BASE(ペット ベース)
ペット専用の空間「Pet BASE(ペット ベース)」の様子(画像:旭化成ホームズ提供)
壁クロス見切り
壁クロスを上下で貼り分ける「見切り」。これによって張り替える部分が最小限で済む(写真:旭化成ホームズ提供) 
ペット対応建具
建具のくぐり戸にもロックできるので、移動場所を制限したり開放したりできる(写真:旭化成ホームズ提供)
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