盛り上がらない自民党総裁選挙はもはや「オワコン」なのか?民主主義が疑われる時代に「あるべき選挙の姿」とは

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ちなみに今回の総裁選テーマは、「#変われ自民党」である。そんなことを言われたら、即座にネット上では「#代われ自民党」とか、「#替われ自民党」などとツッコミが入ってしまう。

自民党もその辺は理解していて、今年は低姿勢の総裁選を目指しているらしい。

党勢衰退だけが「悪目立ち」しかねない総裁選に

他方、オールドメディアは相も変わらず、連日のように総裁選を大きく取り上げてくれる。結果的に野党は埋没するのだが、このままでは自民党が「悪目立ち」することになりそうだ。何より今年の総裁選、ここまでのところ盛り上がっているとは言いがたい。

客観情勢も厳しいものがある。この1年間で自民党は「衆参の選挙」で連敗したので、国会議員は前年比で2割も減った。昨年は議員票と党員票が368票ずつであったが、今年は295票ずつとなる。73人もの仲間が戻って来られなかった、という事実は重い。

党員の数も91万5574人と、2024年に比べて14万0265票も減った。これは昨年、特例措置を行ったからだという。すなわち、自民党員で年間4000円也の党費を2年連続で納めた人のみが、翌年の総裁選に参加する権利を得る。2024年の総裁選ならば、2022年と2023年の党費を納めた20歳以上の党員のみが参加できる。そこを18歳以上、党費1年限りでオッケーとしたのだそうだ。

かつて500万人を超えた自民党員の有権者は、昨年時点ですでに100万人割れしていた。たまたま去年は、岸田文雄首相(当時)が8月14日という早い時期に辞意表明をしてくれたので、そういう小細工をする時間的余裕があったのだろう。ところが今年の石破茂首相は9月7日の辞意表明なので、「ありのまま」の数字が表に出ることになった。

5人の候補者の言動も、昨年に比べると控えめである。昨年、「選択的夫婦別姓制度」や「解雇規制の緩和」という大胆な提案を行った小泉進次郎農水大臣は、今年は安全運転を心がけている。選挙対策本部長にベテラン加藤勝信財務相を招き、昨年とは違って重厚な陣容を築きつつあるが、その分、「若さ」は目立たなくなっている。

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