母親の自死を「母なりの人生の課題だった」と語った透子さん。この言葉にたどり着くまでに、どれだけの涙と葛藤を経てきたのか。私は熱い思いが湧き上がってくるのを感じながら話を聞いていました。

「自分の課題から目を反らす人と取り組む人に分かれます。解決に向けて加速するのはもちろん後者です」と透子さんが言い切った瞬間、私はハッとしました。なぜなら、不登校の相談を日々受けている私にとってなかなか言葉にできないことだからです。
子どもの問題に見えることの多くは、実は親自身の課題です。
「将来困らないように」は愛ではない?
一つ例を挙げると、今の親は、子どもの勉強や学校生活に過剰に介入しがちです。
「ちゃんと進学してほしい」「将来困らないように」――それは愛に見えて、実は親自身が叶えられなかった夢を子どもに託していることも少なくありません。いわば、子どもを通じた“自己実現”。
けれど、それは「教育マルトリートメント(Educational Maltreatment)」と呼ばれ、教育やしつけの名のもとに、子どもの健全な成長を奪いかねない関わり方になりえます。
親が自分の感情を処理できず、「こうなってほしい」と必死になるのは、自分自身の自己肯定感や自己受容感が満たされていないから。
子育ては親の思い通りにはいかないものです。上手くいかない時に忍耐強く、物事のメリットとデメリットを冷静に考え、最後の決断は子ども自身に委ねること。そして、親が自分で自分の機嫌をとり、自分の課題を自分で背負うこと。子どもを自立した大人に育てるには「親の覚悟」が必要なのです。
あなたは、どんな親になりたいですか?
子どもに何があっても受け止めて導く親になるためには、まず自分自身を受け止めることから始まると思います。
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